PROJECT STORY プロジェクトストーリー #1

和洋女子大学看護学部
校舎新築工事

女子大の伝統校として名高い和洋女子大学
看護学部開設にともなう新校舎の建設。
風致地区という立地ゆえの高さ制限や
設計最終段階でのプラン変更など、
数々のハードルを速やかにクリアすることが
求められた。
この門をくぐる新入生のために。
やがてキャリアや年齢、立場の垣根を越えて、
チームが一つにまとまった。
プロジェクトメンバーたちが、
その当時を振り返る。

PROJECT MEMBER

中村 和弘

営業部門 1993年入社 中村 和弘 Nakamura
Kazuhiro

現東京本店建設営業部所属。
本プロジェクトの営業担当として、設計部門と共に受注に向けたプランニングを担当。着工後はお客様と現場のつなぎ役として信頼関係の構築に努めた。

笹部 薫

設計部門 1994年入社 笹部 薫 Sasabe
Kaoru

現本社建築設計第2部所属。
過去に看護学部新設プロジェクトに携わった経験を活かし、要望に対し柔軟に設計プランを提案。詳細で綿密な計画によって、その後のスムーズな施工を支えた。

下川 和宏

施工部門 1981年入社 下川 和宏 Shimokawa
Kazuhiro

現東京本店建築部工事事務所所属。
現場の所長として、若手中心で編成された施工メンバーをまとめあげ、安全面とスピードを両立しながら短い工期内で無事完工させた。

北野 潔

施工部門 2007年入社 北野 潔 Kitano
Kiyoshi

現東京本店建築部工事事務所所属。
現場をまとめ所長を支える初の工事主任という立場で、現場の施工管理を担当。若手のリーダーとして、そして現場のナンバー2として他のメンバーのサポート役も担った。

INTERVIEW

SECTION 01 半地下の2階建てか、地上3階建てか。
追い求めた理想の設計プラン。

SECTION 01

工期を考えて、特例的に両方のプランを並行して設計することになった。

  • 中村 和弘

    和洋女子大学様が看護学部開設に向けた新校舎の建設をされるとのことで、コンペに参加し、当社の提案が認められ受注に至りました。このプロジェクトが同大学様との初めてのお付き合いでした。

  • 笹部 薫

    私は受注が決定した後の詳細設計からこのプロジェクトに参加したのですが、コンペに際しては建設用地の面積や学生の定員などを踏まえた基本設計と見積の提案が必要だったようですね。

  • 中村 和弘

    そうですね。ですから、スタートの段階から設計部門とも協力して提案内容を詰めていきました。プレゼンでは詳細設計の前段階となる基本図や模型を作り、見積書と合わせて提案に臨みました。

  • 笹部 薫

    プレゼンを行う上でのお客様からの要件定義としては、今回どのようなポイントが求められていたのですか?

  • 中村 和弘

    千葉県市川市にある新校舎の建設予定地は風致地区になっていましたので、高さ制限が設けられていました。その条件の中で、400人以上を収容できるキャパシティをどう確保し、また動線をどうスムーズに計画するかなどが当初の課題でしたね。あと何より大きかったのはコスト面の調整です。いかに定められた予算内で、お客様に納得いただける提案にまとめられるかがポイントでした。

  • 笹部 薫

    もともとの計画では半地下1階、地上2階建てでしたが、受注後に最終的に地上3階建てに変更したのも、コストパフォーマンスを考慮してのことでしたよね。私が詳細設計の担当として引き継いだ時点では、半地下の案も、3階建ての案もいずれもまだ残っている状況でしたが、結論が出るまで寝かしていては工期にも影響が出るということで、今回は特例的に両方のプランの設計を並行して進めるようにしました。

「設計段階で施工の意見を取り入れることで、“想定外”を未然に防ぐ。」

  • 中村 和弘

    単純な階数の違いだけではなく、今回は半地下か地上かという違いもあったので、2つの案の詳細設計を同時に進めるには色々と苦労も多かったんじゃないですか。

  • 笹部 薫

    確かに普段とは異なる難しさはありましたね。半地下と地上のプランだと、エントランスの設計が大きく異なってきます。入ってすぐに階段で上がる半地下と、入ってから水平な動線が保てる地上では、使い方も変わりますので、1,2階の設計の考え方がそもそも異なります。あとは何より時間との勝負。限られた期間の中でまとめていくのは大変ではありましたが、設計部門としてはコストパフォーマンスの良い地上プランを採用していただきたいと思っていました。

  • 中村 和弘

    看護学部校舎の新設という特殊な物件でしたが、少し前に名古屋支店で同様の建物の実績があったことと、その設計担当者が笹部さんだったということで、営業担当としてもとても安心感がありました。私自身も名古屋支店の営業から情報の収集を行い、他拠点のノウハウを活用できたことは、お客様の信頼感にもつながったと感じています。

  • 笹部 薫

    一度経験していることは大きな強みでしたね。看護学部の校舎を建てる上でお客様が何を求めているのかを自分の中でもつかみやすかったいう実感はあります。ただ、受注からおよそ半年ほど設計に時間を要しましたので、一日も早く着工しなければという焦りがあったのも事実です。

  • 下川 和宏

    笹部さんのその気持ちは私もそばにいてヒシヒシと感じていましたよ。だからこそ、詳細設計がおおよそまとまりつつある段階で、施工部門を代表して私もお客様との打ち合わせに参加するようにしましたし、現場視点からの意見を事前に伝えて、それを設計に反映してもらうようにしていました。

  • 笹部 薫

    私も、現場の所長である下川さんに打ち合わせに同席いただいて、お客様の意見や想いを直接共有してもらうのが、着工後も想定外のことが起きにくく、スムーズな施工が可能になると思っていました。

  • 下川 和宏

    特にこのプロジェクトについては、工期は1年足らずと規模に対して言えばかなりタイトなスケジュールでした。時間的な余裕はあまり見込めませんでしたから。途中で大きな仕様の変更が起きたり、手直しなどが発生しないように、しっかりと施工に即した設計が仕上がるように現場目線でチェックを行っていました。

  • 中村 和弘

    今回は新学部立ち上げに伴う新校舎の建築ということもあって、4月には入学者を必ず受け入れなければいけません。1日たりとも遅れることは許されない状況でしたので、設計・施工部門ともいつも以上に緊張感があるように感じました。

SECTION 02 風通しの良い環境の中、
若手に芽生えた自主性と責任感。

SECTION 02

自分たちの手でこの現場をしっかりやり遂げよう!という気持ちが強かった。

  • 下川 和宏

    4月に着工して、工期としては翌年2月に竣工、3月からの1ヵ月間が大学側の準備期間となり、4月には新入生を受け入れなければいけない。私もこれまでたくさんの現場を経験してきましたが、そういう意味ではいつも以上の緊張感はありましたね。あとはこの現場の施工部門のメンバーがとにかく若手中心の編成だったので、最初は不安がなかったと言えば嘘になります。(笑)

  • 北野 潔

    所長の立場であれば、きっと誰もがそう思うはずです。私も4月の着工直前になって所長の下につく次席の立場として、工事主任を任されると聞いたときは、正直驚きましたから。(笑)これまでもいくつか現場を経験しましたが、いつも先輩や上司の下についていく立場でしたし、私の下には5年目の後輩と新入社員2人という現場でしたので、自ずと引き締まる思いでした。

  • 下川 和宏

    最近は鉄骨造の建物が多い中、今回の現場は鉄筋コンクリート造で建築の様々なノウハウを広く学べる非常に良い現場です。だからこそ、若手にぜひ経験してほしいと思っていました。親子以上に年齢の離れた工事主任というのは、私にとっても初めての経験でしたので、この現場をうまく機能させることは私にとってもある意味チャレンジでしたね。

  • 北野 潔

    こういった機会を与えていただいたことに感謝しつつ、所長をはじめ会社の期待に応えたいという思いで、限られた工期の中で少しでも工事を進めるためにはどうすれば良いのかを、他のメンバーとも打ち合わせをしながら毎日考えていましたね。私が後輩をサポートするばかりではなく、それぞれが自主性を持って考え、先輩と後輩というよりは、自分たちの手でこの現場をしっかりやり遂げよう!という一致団結した気持ちが強かったように感じます。

  • 下川 和宏

    若い社員ばかりでしたが、私が指示をするとちゃんとついてこれるのは嬉しい驚きでしたね。やる気があって、お互いの関係性も良く、とてもチームワークも良いと感じていました。だからこそ私としても、なんとかこの現場で、自分が教えられることを多く伝えてあげたいという思いが自然と湧いてきたんだと思います。

  • 北野 潔

    所長がいつもあたたかく見守ってくださるおかげで、私たちも非常に働きやすく、楽しみながら色々なことに積極的にチャレンジすることができました。お客様との定例会議に一緒に出席させていただいたり、施工図を自分の目でチェックしたり、本当に色々な経験をさせてもらいました。

  • 笹部 薫

    この現場は本当に明るくて、みんながとても楽しそうでしたよね。設計部門にもこのプロジェクトに参加した若手社員が1人いるのですが、施工部門のメンバーとも同期ということもあって、お互いにコミュニケーションも取りやすく、現場でもいきいきと働いている印象でした。所長の下川さんもやさしい人柄なので、何でも相談しやすかったんじゃないですかね。

  • 北野 潔

    所長と自分たちの間に先輩がいないことで、自分たちがなんとかしなければという気持ちは自ずと生まれていたと思いますし、一人ひとりが少しずつ背伸びをしながら、自分が今できる以上のことをやろうと試みていました。何か解決したいときにすぐに所長に聞けたというのも、仕事がとてもスムーズに捗った要因だと思います。

「若いメンバーが中心になって活躍する姿が、とても頼もしく見えた。」

  • 下川 和宏

    そう感じてもらえていたなら良かったです。若い社員が意見を言いやすい空気づくりは一番意識していたことかもしれません。毎週1回は職場会議を行って、各自の担当や工事の進捗を確認したり、常にコミュニケーションを取りながら意見交換を行っていました。若手もみんな優秀で、素直で理解力の高いメンバーばかり。和を乱すような人は一人もいませんでしたね。

  • 中村 和弘

    私も皆さんが協力して頑張っている姿を安心して見ていましたよ。下川さんとは長いお付き合いですし、北野くんの現場での良い仕事ぶりは知っていたので、きっとこの現場をうまくまとめてくれると思っていました。若い人が中心になってカタチにしていくのを見ていると頼もしかったですね。

  • 北野 潔

    ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。これまでも段階的に色々な現場で経験させていただいたことや、各現場で所長や先輩から教わったことが、この現場で自分なりに発揮できたのかなと、今になって思っています。

  • 下川 和宏

    私と中村くんと笹部くん以外は、みんな若手ばかりの現場でしたからね。私がいない場所でも、お互いに色々と相談したり、アイデアを出し合ったりしていたようです。結構毎日遅い時間まで、みんなで打ち合わせしていたのも知っていますし。風通しの良い関係性の中で、課題があればすぐに解決していたからこそ、最後まで大きな問題も起きなかったのではと思います。

  • 北野 潔

    所長に聞くべきことは聞く。自分たちで解決できることは自分たちで解決する。それは現場にいる間、みんなの共通認識としてずっと徹底しするようにしていました。

SECTION 03 お客様と鴻池組と協力会社がつながり、
ワンチームで作りあげた理想の現場。

SECTION 03

「所長として、この現場ほど楽しいと思えた現場はなかったかもしれません。」

  • 下川 和宏

    今思えば、この現場は協力会社にもとても恵まれていましたね。建物の躯体を作るまでの中心的な職種である鳶、鉄筋工、型枠大工については、経験豊富な職長マスターが現場をまとめてくれたので、現場全体の雰囲気がとても良かったように感じます。若手のみんなも職長から現場のいろはをはじめ、色々なことを学べたんじゃないかな。
    ※職長マスター認定制度 当社規定により優秀と称された職長を認定する制度

  • 北野 潔

    そうですね。現場では毎日、本当に色々な人に助けていただきました。協力会社の職人さんもわからないことがあれば丁寧に教えてくださる方が多く、年齢やキャリアに関係なく、積極的にコミュニケーションが取れたのはとても良かったと思います。新入社員が2人配属されていましたが、新人でも臆することなく、わからないことがあれば上司や先輩はもちろん、職人さんに直接尋ねるケースもあり、とても良い雰囲気の現場であり、学びの場だったと思います。

  • 下川 和宏

    躯体が出来上がった後、それが仕上げの段階になっても、その雰囲気が最後まで変わらず継続できたのは良かったですね。私もこれまでたくさんの現場で所長を経験してきましたが、この現場ほど楽しいと思えた現場はなかったかもしれません。若手のメンバーと一緒になってつくりあげる経験はとても新鮮でした。もちろん負担もありましたけどね。(笑)

  • 北野 潔

    所長にそういってもらえると、とても嬉しいですし、頑張ったかいがあったなと思います。仕事面ももちろんですが、こうして責任のある立場で現場に携わらせていただいて、新入社員や現場経験の少ない人にどういう風に伝えたり、教えたりすれば良いのかもこの現場で学びました。それも大切な財産になりましたし、後の現場でも活きていると感じています。

  • 中村 和弘

    社内の各部門の連携もそうですし、若手とベテラン、若手同士、さらに協力会社との連携まで、すべてがうまく噛み合った理想的な現場だったということですね。

  • 笹部 薫

    たとえば設計部門であっても、本業の図面を書くということだけにこだわるのではなく、時には営業の立場で考えてみたり、施工部門の視点で捉えてみたり。同じゴールを目指すという意識を共有し、パートナーとして認め合うことが大切なのかもしれませんね。いいものをつくりたいという想いや、現場がスムーズに進捗することを願う気持ちは、部門の違いや立場の違いは関係ありませんから。

「工事主任という立場を経験させていただいたことが、大きな自信になりました。」

  • 中村 和弘

    今回のプロジェクトでは、お客様にも恵まれたと言えると思います。窓口として対応いただいた和洋女子大学様のご担当者様は過去にも新校舎建設に携われた経験をお持ちで、随所随所で貴重な助言をいただき、北野くんをはじめ若手の働きを温かく見守りながら、私たちが仕事をしやすい環境づくりをサポートしていただきました。お客様との関係性も工事が進むほど良くなっていった現場でしたね。

  • 北野 潔

    各部門の連携が上手くいったこともありますし、協力会社の方にも支えられながら、限られた工期の中で良いものをつくろうと、協力しながら向かえたことが、何より良かったのかなと思います。あと、頼れる職人さんが躯体三役に揃っていたことも。そういう意味ではいろんなプラス要素が揃った現場だったのかもしれません。

  • 下川 和宏

    設計施工を中心にしながら、会社全体として、ワンチームで進められたことが、一番スムーズにプロジェクトが運んだ要因だと思います。あとは中村くんも言っていたように、お客様からも色々な協力や助言をいただけたことですね。

  • 笹部 薫

    私としても、5年目の若手に役割を任せながら一緒に取り組めたこと。またこの現場を通して、多くの経験させてあげられたことは成果のひとつだと思います。下川さんがとにかく経験豊富で、事前に的確に指示を出していただけるので、とてもスムーズで仕事がしやすい現場でした。また、市川市との協議の場など、お客様とも協力しながら共に動くことができたので、とても楽しい現場になりましたね。

  • 中村 和弘

    和洋女子大学様とはこの工事が初めてのお付き合いでしたが、その後に九段校舎の改修や、別学部校舎耐震工事も担当させていただくなど、関係性が深まっています。これも一重に、この工事がうまく完了し、また高い評価いただけたからだと嬉しく思っています。皆さんが力を合わせて、現場をうまく収めてくれたおかげです。

  • 下川 和宏

    自信もついて、北野くんは今すぐにでも所長もできる気満々なんじゃないの?

  • 北野 潔

    いえいえ、とんでもないです。(笑)まだまだ勉強の身なのは変わりませんが、工事主任という立場を若いうちに経験させていただいたことは、自分にとって本当に大きな自信になりました。

  • 一同

    これからも若手にはどんどんチャレンジしてほしいし、挑戦を歓迎する雰囲気を私たちはこれからもつくっていかなければいけませんね。