技術広報誌ET

技術広報誌ET 2020年発刊号

東灘第1低層配水場小水力発電事業

499号(2020年10月1日) 上下水道施設を利用した発電事業 経営戦略本部 経営企画部 企業戦略課 新井 祐作

はじめに

神戸市水道局では、環境にやさしい水道システムの構築を目指し、マイクロ水力発電の導入促進など再生可能エネルギーの活用を進めています。東灘第1低層配水場には1日14,000~20,600m³の入水があり、立地条件から有効落差が35mあります。この入水を未利用エネルギーとして有効活用(位置エネルギーを電力に変換)するための検討を進めていました。2019年3月に事業者の募集があり、当社がその発電事業者に選定されました。

小水力発電の特徴

河川や農業用水路、ダム水路、上下水道施設、工業用水道施設、工場やプールなどの循環水処理施設などで発生する水流はエネルギーとして有効活用できます。小水力発電は一般河川、農業用水、砂防ダム、上下水道などの水をエネルギーとして利用し、水車を回すことで発電する方法です。
一般的には、河川に流れる水をダムに貯めることなく直接取水して利用する「流れ込み式」の発電方式が採用されます。「小水力」とされる発電出力の範囲に厳密な区分けはありませんが、1,000kW以下の発電出力を小水力と呼ぶことが多くなっています。
また、発電出力を検討するにあたっては「流量」と「落差」の2つの要素が非常に重要となります。発電出力(kW)は、[重力加速度9.8]×[1秒当たりの流量(m³/S)]×[有効落差(m)]×[発電効率0.7]で求められ、年間の発電量(kWh)は、上記[発電出力]×[稼働時間:24(h)×365(日)×稼働率]で算出します。

写真-1 発電水車

写真-1 発電水車

図-1 東灘第1低層配水場小水力発電模式図

図-1 東灘第1低層配水場小水力発電模式図

おわりに

当社では、本事業で得た経験と実績をいかして再生可能エネルギー事業への取り組みを一層強化し、社会的課題を解決することで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

計画概要

事業名 東灘第1低層配水場小水力発電事業
場所 神戸市水道局 東灘第1低層配水場内 神戸市東灘区西岡本4丁目17-1
期間 2020年6月から20年間
業務 配水場内の管路に小水力発電設備を設置しFITにより関西電力(株)に売電 名称: 「K1パワープラント」
発電設備 水車: ポンプ逆転水車 出力: 42.5kW 有効落差: 35m 流入水量14,000~20,600m³/日 (最低12,000m³/日) 発電量: 約340,000kWh/年

499号(2020年10月1日)の記事

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