技術広報誌ET

技術広報誌ET 2020年発刊号

芯材を有するソイルセメント改良体工法
『PSPⅡ工法』

498号(2020年7月1日) 建築技術性能証明を改定取得 技術研究所 森清 宣貴

はじめに

本工法は、従来から仮設山留め壁として用いられているソイルセメント壁の性能を向上させることで、本設の地盤改良体として利用する技術です。当社を含む総合建設会社14社は2003年にPSP工法として一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得し、適用を推進してきました。今回、適用範囲の拡大を目的に共同研究会で検討を重ね、実大の載荷試験(写真-1)を行うことで構造性能を確認し、PSPⅡ工法として建築技術性能証明(GBRC性能証明 第02-22号 改2)の改定を行いました(図-1)。

※ 構成会社:㈱鴻池組、青木あすなろ建設㈱、㈱安藤・間、㈱奥村組、五洋建設㈱、鉄建建設㈱、戸田建設㈱、西松建設㈱、㈱松村組

図-1 建築技術性能証明書

図-1 建築技術性能証明書

写真-1 載荷試験状況

写真-1 載荷試験状況

主な改定内容

改定前の従来工法(PSP工法)では、主に建物の押込み荷重に対する設計手法・施工方法を確立し、工期短縮や建設資材の削減を図っていました。一方、従来工法を地震時に建物基礎に作用する引抜き荷重に対して適用する場合には、引抜き抵抗に関する知見が少なかったことから、個別に詳細な検討が必要になり、設計時に多大な労力を要していました。
今回の改定では、実大の引抜き試験により地震時の引抜き荷重に対する構造性能を確認しました。また、従来の押込み荷重に対する設計に加えて、引抜き荷重に対してのみ、あるいはその両方の荷重に対して設計できるような設計手法・施工方法を確立し、適用範囲を拡大しています(図-2)。

図-2 工法概要図

図-2 工法概要図

おわりに

今回の改定による本工法の特徴を活かし、地震時に建物基礎に大きな引抜き荷重が作用するようなスレンダーな建物を中心に、工期の短縮や建設資材の削減を行うことで、基礎工事の一層の合理化、環境負荷の低減を進めていく予定です。

498号(2020年7月1日)の記事

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