技術広報誌ET

技術広報誌ET 2020年発刊号

福山市営競馬場跡地に市民待望の公園を整備

498号(2020年7月1日) (仮称)競馬場跡地公園整備工事 大阪本店 工事事務所 財田 孝巳 / 三宅 真司

はじめに

2012年度末をもって廃止となった福山市営競馬場の跡地は、福山駅の南方約2.5km(徒歩で約30分の距離)の芦田川に面した広大な土地で、福山市の中央部では希少なパブリックスペースです。当工事は、『水と緑に包まれた健やか・未来ふくやま創造交流拠点』を基本コンセプトとした競馬場跡地利活用の1つである「やすらぎゾーン」(図-1)に多世代にわたる新たな憩いや安らぎ、健康増進を含むレクリエーション活動の拠点となる緑豊かな都市公園を整備する工事です。
ここでは、当工事で整備した防災施設である雨水貯留施設とレクリエーション・健康促進施設である遊具施設を中心に紹介します。

図-1 ゾーニング計画図

図-1 ゾーニング計画図

写真-1 公園全景

写真-1 公園全景

ミニゲート工法による雨水貯留施設

当公園の地下には、25mプール約4杯分(約1600㎥)の雨水を貯えることができる地下貯留槽を設置しています。公園内に降った雨を一旦貯留し、排水量を抑制しながら水路に流すことで、下流域の水路があふれることを防ぎ、浸水被害の軽減を図るものです。当工事においては、プレキャスト式雨水地下貯留槽「ミニゲート」(図-2)を採用しました。この工法を採用することにより工期短縮・コスト削減を図りました(写真-2~4)。
ミニゲートは、形状が単純かつ軽量なため、据え付けが容易です。連結部についても、頂版は全ネジボルトと無収縮モルタルによる接合、本体同士はボルトによる連結と単純なことから、現場での施工性に優れています。また、内部空間が大きいため施設内部での点検・清掃等の維持管理業務が可能で、管理人孔・堆砂部を設置することにより、維持管理作業を容易にすることができます。

図-2 ミニゲート概要図

図-2 ミニゲート概要図

写真-2 ミニゲート設置状況写真

写真-2 ミニゲート設置状況写真

写真-3 雨水貯留施設全景写真

写真-3 雨水貯留施設全景写真

写真-4 雨水貯留施設内写真

写真-4 雨水貯留施設内写真

三世代で遊べる市内最大級の大型遊具

大型遊具は支柱を林立させ、支柱天の稜線で「山」を表現しています。幾本も連なる支柱には、デッキやブリッジを不規則に配置して迷路のような形状とすることで、無数に広がる山道をイメージしています。縦横無尽に広がるブリッジが遊びと遊びをつなぎ、遊園地のアトラクションのような楽しさや高揚感を味わえる遊具となっています(写真-5)。

写真-5 遊具施設

写真-5 遊具施設

幼児・児童が楽しめる遊具はもちろん、乳幼児も遊べるエリアを設置し、年齢差や体格差のある子ども達との衝突などを未然に防ぐため、周囲をフェンスで囲い、遊び場を区分することにより安全に遊ぶことができます。さらに遊び場の周囲には健康遊具を配置し付き添いの大人達も気軽に運動でき、日頃の運動不足の解消や気分のリフレッシュを行えます。また、大型遊具の周囲は、当初張芝を施す計画でしたが、全面ゴム舗装に変更し、落下・転倒などによる怪我のリスクを低減し、安全に遊ぶことができるようにしました。子どもから高齢者まで幅広い世代の方が一緒に楽しむことができ、市内外から多くの人々に訪れていただける施設です。

おわりに

当工事は、2020年3月13日に竣工し、同年3月20日にオープニングセレモニーが開催されました。その後は一般開放され、現在市内外から多くの人々が訪れ利用していただいています。当公園が福山市民の憩いと交流の場として活用され続けていくことを切に願います。

工事概要

工事名称 (仮称)競馬場跡地公園整備工事
工事場所 広島県福山市千代田町一丁目地内
発注者 福山市
施工者 鴻池組・佐々木建設・三谷建設共同企業体
工期 2018年6月~2020年3月
工事内容 工事面積  A=17,130m² 基盤整備工 1式 植栽工   高木中低木 7,070本 地被類   14,950鉢 張 芝   6,600m² 雨水排水設備工 1式

498号(2020年7月1日)の記事

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