大規模土砂災害における廃棄物の処理
広島市災害廃棄物処理業務
大阪本店 工事事務所 小山 起男 / 安達 忍
はじめに
この災害で発生した土砂混じりの廃棄物は約51万トンにも及び、広島市が設置した9カ所からなる1次仮置場に「がれき混じり土砂、がれき類、流木・柱角材」に大まかに分けて集積されていました。今回の業務は、この仮置きされた災害廃棄物を、広島市南区出島地区の市有地に当JVが設置した中間処理施設に運搬し、分別・破砕などの処理を行い、リサイクルまたは処分することが目的です。
1次仮置場は公園などのパブリックスペース等を利用しているケースもあり、早期に原状回復することが求められていました(図-1)。
![]() 図-1 1次仮置場および中間処理施設位置図 |
中間処理について
災害廃棄物の中間処理は、広島市策定の「平成26年8月20日の豪雨災害に伴う広島市災害廃棄物処理計画」に基づき実施しました。
処理設備は大型の仮設テントで覆い、大量の廃棄物を継続的に安定した処理を行いました(写真-1)。
![]() 写真-1 中間処理施設(2次仮置場)全景 |
②改質・粒度調整:高含水の廃棄物を改質し、サラサラな状態にします。
③一次分別:自走式スクリーン(写真-2)にて3サイズに分別します。
1)オーバー材:100~200mm
3)アンダー材:40mm以下
④二次分別:オーバー材は、手選別にて種類毎に分別します。ミドル材は、がれき類中間処理ゾーンにて処理します。アンダー材は、水平ベルトコンベア(写真-3)にて手選別によりがれき類を分別します。分別したがれき類はがれき類中間処理ゾーンにて処理します。
![]() 図-2 処理フロー(がれき混じり土砂) |
![]() 写真-2 自走式スクリーンによる分別 |
![]() 写真-3 アンダー材の手選別 |
○ がれき類中間処理 (図-3) |
![]()
写真-4 |
![]() 図-3 処理フロー(がれき類) |
![]() 図-4 磁力・風力選別機の仕組み |
○ コンクリートがら、岩石中間処理 (図-5) |
![]() 写真-5 自走式クラッシャーによる破砕 |
![]() 図-5 処理フロー(コンクリートがら・岩石) |
【リサイクル率】
災害廃棄物処理において重要なリサイクル率は、目標値と して設定した98.9%を上回る「99.8%」を達成しました。
【思い出の品】
手作業による丁寧な選別(写真-6)などにより、多くの思い出の品を見つけ出すことができました。業務中は「思い出の品預かり所」(写真-7)を設け大切に保管しました。
![]() 写真-6 手作業による選別 |
![]() 写真-7 思い出の品預かり所 |
おわりに
今回発見された思い出の品を見るたびに今回の悲痛な災害が脳裏をよぎります。このような災害が2度と発生しないことを切に願うばかりです。
工事名称 | 広島市災害廃棄物処理業務 |
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発注 | 広島市(環境局 環境政策課 災害廃棄物処理担当) |
施工 |
鴻池組・リマテック・河崎組・山陽建設・壺山建設・RTT・ 山興緑化広島市災害廃棄物処理業務共同企業体 |
工期 | 平成26年11月~平成28年3月 |
工事場所 | 広島県広島市南区出島4丁目ほか |
規模等 | 中間処理施設面積 50,000m2 |
施設概要 |
がれき混じり土砂分別施設1式 がれき類分別施設1式 コンクリートがら・岩石破砕施設1式 |
処理量 |
約51万トン |
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