繊維入り強化塗料を用いた天井耐震補強工法 鴻池CSFP工法「帯塗(タイト)くん」を開発

技術研究所 岩下 智 

開発経緯

 2011年に発生した東日本大震災では、ホールや体育館等の特定天井が落下する被害が多数発生しただけでなく、事務所ビル等に広く採用されているライン型システム天井の落下被害も多くみられ、その落下防止対策が求められていました。

工法概要

鴻池CSFP工法は、強化塗料を天井面に帯状に塗布することによって天井ボードとTバーや廻縁などの金物を一体化し、天井の動きを抑制することで天井ボードの落下を防止または低減するものです(図-1)

※CSFP工法: Ceiling Support system by  Fiber strengthening Paint method
※本工法は(株)鴻池組、鴻池ビルテクノ(株)、(株)桐井製作所および日本樹脂施工協同組合の共同開発です。

主な特長として以下が挙げられます。
①短工期:補強工事は天井面への塗装作業が中心であり、天井内部での作業がないことから、部屋の利用がない休日や夜間の工事で対応できます。
②美観性:透明な塗料による塗膜は目立つことはなく、従来のネットや鋼材によるフェイルセーフ対策と異なり、現状の天井美観を損ないません(写真-1)
③低コスト:従来の天井内部からの補強や鋼材等を用いた対策に比べ、補強工事コストを大幅に低減できます。

 

振動台実験による効果の確認

補強効果を検証するため、当社技術研究所において東日本大震災時に観測された仙台波などを用いた振動台加振実験を行いました。その結果、仙台波の約1.7倍(震度6強相当)の加振に対して、補強なしの試験体は多くの天井ボードが落下した一方で、当工法によって補強した試験体は天井ボードのズレや落下はなく、補強効果が確認されました(写真-2、3)。因みに、同加振時の天井面加速度は、「補強なし 6.9G」、「補強あり 3.5G」でした。
また、塗料に関する様々な試験によって材料特性を把握すると共に、事務室天井への実施工によって良好な施工性を確認しています。

○ 振動台実験映像

本誌掲載記事に関するお問い合わせは、経営管理本部 経営企画部CSR・広報課までお願いします。なお、記事の無断転載はご遠慮ください。     

476号(2015年01月01日)