既設床版の急速取替え技術「クイックチェンジ工法」

急速な老朽化が進むわが国のインフラに対して、昨年11月に政府からインフラ長寿命化基本計画が発表されました。老朽化が進む道路橋に関しては、NEXCO、首都高速、阪神高速の各高速道路会社からも、大規模更新・修繕の計画が発表されています(表-1)。中でも疲労劣化が深刻化している道路橋床版は、補修補強では対応しきれず取替えを必要とするものも少なくありません。しかしながら、床版取替え工事は通行止めや車線規制を伴うことから、交通量の多い路線では市民生活や社会経済に与える影響も大きくなってしまいます。
当社においても「インフラ再生検討委員会」を新たに設置し、具体策の検討を進めており、その一環として、劣化した床版を、素早く、耐久性のある床版に取り替える技術の開発に取り組んでいます。 

 

工法の概要

当社と(株)横河住金ブリッジが共同開発した床版取替え技術「クイックチェンジ工法」は、工場で製造する上下2枚の鋼板と形鋼から構成されるサンドイッチ床版パネル(図-1)を、既設床版撤去後の桁上に敷設し、パネル同士および桁間との連結を行った後、軽量高流動コンクリートを充填し、一体化します。 

 

覆工板のような形状であるため、既設床版撤去後、すぐに架設でき、コンクリート未充填の状態でも車両の通行が可能です。このため狭隘な場所でもパネル上を施工ヤードとして有効活用することができます(図-2)。 

 

工法の特徴

①プレキャストRC床版と比較し、大きなサイズの床版パネルでの施工が可能(急速施工)。
②パネルの連結作業は鋼部材のみのため、配筋作業や目地部コンクリートの養生が不要(急速施工)(図-3)。 

 

③コンクリートが鋼板に覆われた複合構造であるため、コンクリートに対する劣化因子の侵入がなく、 疲労耐久性に優れており、剥落等の発生がない(高耐久性)。 

 

昭和43年以前に建設されたRC床版は、現在のものより床版厚が薄いため軽いものも多く、主桁や橋脚、基礎への負担軽減や耐震性の確保のために、新設床版にも軽量化が求められています。
そこで、現在、床版の更なる軽量化を図り、輪荷重走行疲労試験により疲労耐久性の検証を企画しています。今後は、本工法の特徴を活かし、従来工法では施工が困難な狭隘な場所やランプ部等への適用も検討していきます。 

 

 

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473号(2014年04月01日)