高分子系改質剤「クリ-ンウォ-タ-」の適用

廃棄物が混入した建設発生土の連続分別処理   

東京本店 土木部 片岡 寛/保岡 寛
土木事業本部 環境エンジニアリング部 近藤 秀樹

はじめに

土地区画整理事業の整備工事に適用した廃棄物の連続分別処理技術を紹介します。
当工事には廃棄物が混入した建設発生土の分別工(3箇所、当初37,500m3)が含まれ、40mm以下、40mm~60mm、60mm~150mm、150mm超過に分別を行います。一次選別した40mm~60mmの廃棄物混じりの建設発生土は、さらに二次選別を行います。二次選別後に残る廃棄物は、最終的に手選別ピッキングラインにて鉄くず・木くず・廃プラ・混合廃棄物(ガラ)に区分して回収し、コンクリ-トガラ・アスファルトガラなどの粗大物を含めて廃棄物処理法を遵守し、適正に処分を行っています。一次選別および二次選別で回収した40mm以下の土砂は、整備工事ヤ-ド内で盛土材料として再利用します。
当工事では、工期短縮・コスト縮減および周辺環境への影響を少なくするため、次に示す技術提案を行い実施しています。
1)一次選別・改質剤混合・二次選別・三次選別(手選別)を一連の処理で実施(連続分別処理の適用)(写真-1、2、3)。
2)一次・二次選別に処理能力の大きい櫛歯状スクリ-ン搭載の自走式振動ふるい機を採用。
3)改質剤として、生石灰と比較して粉じん発生の少ない高分子系改質剤「クリ-ンウォ-タ-」を採用。
4)改質剤の混合撹拌は汎用性のある油圧ショベルを採用し、ふるい分別スペースのスリム化を実現。 

 

 

廃棄物が混入した建設発生土の連続分別処理

一次選別では自走式振動ふるい機を使用し、廃棄物が混入した建設発生土を40mm以下、40mm~60mm、60mm超過に分別します。なお、150mm超過の粗大廃棄物は油圧ショベルにより事前に取り除きます。また40mm~60mmの廃棄物混じりの建設発生土は、クリ-ンウォ-タ-を添加し、油圧ショベルで撹拌混合した後、二次選別として自走式振動ふるい機に投入します。この二次選別では廃棄物の減量化を図り、有効利用する土砂を増加させるため、再度40mmふるいで分別します。さらに40mm超過分は三次選別(手選別ピッキングライン)に送られ、木くず・廃プラをベルコン上で人力回収し、鉄くずは磁選機で自動回収します。なお、木くず・廃プラ・鉄くず以外のもの(ガラ)は混合廃棄物として回収し、適正に処分します。以上の一次選別・二次選別にて回収した40mm以下の土砂は、整備工事ヤ-ド内で盛土材料としてリサイクルしています(図-1)。
 

 

クリ-ンウォ-タ-

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一次選別後の40mm~60mmの廃棄物混じりの建設発生土にはクリ-ンウォ-タ-(NETIS登録番号:KT-130011-A)を添加し、油圧ショベルを用いて混合・撹拌します。クリ-ンウォ-タ-には粉体(写真-4)と液体(写真-5)の2種類がありますが、今回は粉じんの発生抑制に有効な液体タイプを使用しました。

クリ-ンウォータ-による改質で以下の効果が期待できます。   
1)工期短縮
・ 改善効果が即時に発揮されるため、仮置き養生期間が不要となり、ふるい分別の連続作業が可能となるため、工程が短縮できます。
・ 汎用機械での撹拌混合が可能であり、特殊機械入替による工程の制約を受けません。
2)品質の向上
・ 廃棄物と土砂との剥離性が向上し、分別精度が向上します。
・ スクリ-ン等への土砂の付着量が少なく、ふるい目の詰まりによる停止・清掃が少ないため、40mm以下の土砂回収量が増加します(図-2)。
3)施工性の向上
・ 汎用機械での撹拌混合のため、作業スペースがコンパクトにできます。
・ 汎用機械での撹拌混合作業のため、熟練性の必要がなく施工速度が向上します。
・ 液体タイプの改質剤は容器入りなので、材料管理が容易で天候による影響を受けません。
4)周辺環境への影響
・ 生石灰と比較して、撹拌混合時や分別時の粉じん発生を低減できます。
・ 改質剤は中性物質であり、改質時にアルカリ化や発熱もなく、周辺環境へ悪影響を及ぼしません。 

 

連続分別処理実績および効果

当工事では、廃棄物が混入した建設発生土にクリ-ンウォ-タ-を1.2kg/m3添加し、平成26年2月までに全ての対象土(約19,000m3)の処理を完了しました。
クリ-ンウォ-タ-を使用した二次選別作業の効果として、①施工ヤードの縮小、②施工速度の向上、③廃棄物分別精度の向上、④粉じん発生の低減等が認められました。
これらの効果により、当初目標の工期短縮・品質の向上・施工性の向上・周辺環境への影響低減を図ることができました。
これからも廃棄物が混入した建設発生土の分別対策にクリ-ンウォ-タ-を適用し、高精度の連続分別とリサイクル率の向上を目指します。 

 

工事概要
施工 (株)鴻池組
工期

平成25年3月~平成26年3月 

工事内容

整地工事
 整地工 掘削 V=21,500m3 盛土 V=144,000m3
 分別工 ふるい分け V=37,500m3
 擁壁工 CP型枠擁壁3~13段 L=1,750m
      基礎改良(中層混合)  V=10,700m3
 構造物取壊し・防災施設工 一式
 存置家屋整備工 N=65画地
整備工事
 排水工 雨水排水 L=1,560m 汚水排水 L=3,400m
      人孔 N=174基
 取付管工 雨水排水 N=132箇所 汚水排水 N=109箇所
 塗装工 車道部 A=21,300m2 歩道舗装 A=3,300m2
       路面排水 L=7,500m 付属施設 一式
 地盤改良工 安定処理 A=7,900m2 置換 V=10,300m3

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473号(2014年04月01日)