ベルトコンベヤーによる土砂の場外搬出
岡崎花園造成
名古屋支店 工事事務所 佐藤一郎
/小川勝正
はじめに
本工事は、愛知県岡崎市の北西部で豊田市に近接する地区に、99,150m2の宅地造成を行う工事です。本地区の周辺(図-1)は、住宅需要が高い地区で、現場に隣接して中学校、幼稚園、スポーツセンター、お寺などがある閑静な場所です。本号では、ベルトコンベヤーによる切土土砂48万m3の運搬方法について紹介します。
図-1 全体平面図 |
ベルトコンベヤー施工方法の採用経緯
当工事の切土75万m3は、27万m3が場内処分で、48万m3が指定地処分です。その指定地は、直線で約250m離れた森林の谷間ですが、規制の関係で工事用道路を設置できず、また、指定地に通じる道路も狭小で大型車が通れないため、ベルトコンベヤーによる土砂運搬方法を採用しました(図-2)。
図-2 ベルトコンベヤー縦断図 |
ベルトコンベヤーの構造
ベルトコンベヤーは、ホッパー(写真-1)、No.1~3ベルトコンベヤー(写真-2,3)、ヘッドシュート(写真-4)で構成されます(図-3,4)。
ホッパー部は中心にベルトフィーダー、左右に振動式のベルトフィーダーを設置して落とし込み土量を調整しています。ホッパー内部は土砂が付着しにくいよう にライニング加工をしています。ベルトコンベヤーは表-1に示すように3つに分かれています。ヘッドシュートはトラスフレームの構造で、機長が27.0m(No.3ベルコンに含む)あります。
本コンベヤーは、ベルト勾配20°、トラフ角度45°、作業効率75%の条件で、3,000m3/日を運搬できる能力を有します。
表-1 ベルトコンベヤーの仕様
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![]() 写真-3 ベルトコンベヤー |
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図-4 土砂ホッパー部断面図 |
ベルトコンベヤーの改良
切土土砂に多く含まれた礫分によりホッパースリット部のグリズリバーが変形し、その結果、礫がスリットをすり抜けることがあり、ベルトの損傷がたびたび起こりました。そこで、グリズリバー(I200×100×7/10)を図-5のように補強しました。
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ベルトコンベヤーの利点と欠点
本工事において確認できた利点と欠点は次の通りです。
利点
土砂運搬車両が住宅地を通過することがないため、第三者災害の危険性がなく、環境にも優しい。
機材計画が立案しやすく、工程通りに施工できる。
欠点
ベルトが切断した場合、補修のために工事が止まる。
ベルトコンベヤーの勾配が大きいので、降雨時は土砂が滑り落ちるため作業が止まる。
土捨て場において、積み込み・運搬が必要となる。
おわりに
平成20年8月中旬からベルトコンベヤーによる土砂運搬作業を開始しましたが、グリズリバーの補強を施した結果、平成20年11月現在、工事は順調に進捗しています。
当工事の施工実績が、環境に配慮した土砂の場外搬出事例として、同種工事施工計画の参考になれば幸いです。
工事名称 | (仮称)岡崎花園住宅団地造成工事 |
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工事場所 | 愛知県岡崎市桑原町、細川町地内 |
発注 | (株)協和 |
施工 | (株)鴻池組 |
工期 | 平成19年12月~平成22年3月 |
工事内容 |
宅地造成工事 99,150m2 切土 747,000m3 |
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