鉄道近接工事における施工計画
岩倉駅東地区北街区再開発
名古屋支店 工事事務所 江口順博
/ 丸井貴司
はじめに
平成21年9月に竣工予定の岩倉再開発ビルは、1階店舗、2階公益施設、3階より上部階は分譲住宅です(写真-1)。工事にあたっては、西側に名古屋鉄道(以下名鉄)犬山線が通っている関係上、さまざまな規制がありました。ここでは営業線近接工事の施工計画について紹介します(写真-2)。
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施工計画概要
(1)地盤改良杭・SMW工事の夜間作業施工計画
名鉄における営業線近接工事での工事範囲は以下の3区分があります。
- 無条件範囲:特別の対策を必要としない
- 要注意範囲:通常は変位や変形などの有害な影響はないとして良いが、まれに影響があると考えられる範囲
- 制限範囲:変位や変形が施工により影響が及ぶと考えられる範囲(名鉄近接工事設計協議より)(図-1)
当現場は近接工事施工検討書により2の要注意範囲に該当します。
夜間工事は偶数日および日曜日はできないという条件の中、地盤改良杭(図-2)の範囲内は、全て夜間工事(AM1:00~4:30)で行いました。工事期 間中は、線路内のレベル検測を1時間ごとに行うとともに、名鉄指定基準点の定点観測を行い支障なく完了することができました。
![]() 図-1 線路境界部分断面図 |
![]() 図-2 敷地と要注意範囲 |
次のSMW工事は近接工事協議書を提出後、名鉄、再開発組合、市役所、設計事務所、その後、近隣との協議・折衝を行い、3日間の夜間工 事を行う条件で工事を進めることとなりました。SMW工事においても線路内レベル検測を行い、その結果、基準値内で異常のないことが確認され、昼間工事へと移行しました。昼間工事では、列車監視員2名、工事指揮者(当社職員)1名が工事期間中、常時立会いました。
昼間工事中も自主的にレベル検測を行い、基準値以内であることを確認し工事を完了しました。
(2)鉄道側の擁壁(現場打ちコンクリート)をコンクリート二次製品に変更
当初設計図書では、名鉄との境界部分の擁壁が現場打ち工法による躯体となっていました。名鉄線路側での工事のため、夜間の条件および工程にも影響が出ると考え、設計事務所、再開発組合との打ち合せを行い、PC擁壁に変更しました(写真-3、4)。今回のPC擁壁では、敷地内から施工が可能であり、昼間工事となるため安全であり工程も短縮できました。
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おわりに
岩倉駅再開発施設建築物新築工事において、営業線(名鉄沿線)近接工事の施工計画は、地盤改 良杭工事は夜間工事を経て無事完了、SMW工事は3晩施工し昼間工事に切り替わりましたが、夜間工事においては防音シートによる養生および騒音測定、線路 内でのレベル管理など関係部署との協議、調整を経て無事施工できました。
当工事の施工実績が、今後の同種工事での参考になれば幸いです。
工事名称 |
岩倉駅東地区北街区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事 |
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工事場所 | 愛知県岩倉市本町神明西20番地 |
発注 | 岩倉駅東地区北街区市街地再開発組合 |
設計・監理 | (株)アール・アイ・エー名古屋支社 |
施工 | (株)鴻池組 |
工期 | 平成19年10月~平成21年9月 |
構造・規模 |
地上 中層棟9階 高層棟 17階 (RC造+一部S造) 地下 1階 駐車場棟5階 (S造) 建築面積 4,376.09m2 延床面積 23,263.26m2 住戸数 98戸・駐車台数 215台 |
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