浅い土被りで都心国道下を掘進する開放型矩形シールド

国道20号新宿地下歩道

東京本店 工事事務所 藤室好人
/ 西崎一路

はじめに

新宿駅周辺は、首都東京を代表する都心であり、交通、商業、企業等集中しており、渋滞、乗り換え機能の不足など都市的な課題を抱えています。そこで、国土交通省関東地方整備局は、新宿駅南口地区基盤整備事業として、交通結節点の整備、国道20号(甲州街道)跨線橋の架け替え・補強、新しく開業した地下鉄副都心線とを結ぶ地下歩道の築造の三点を推進しています(図-1)。このうち、地下歩道工事233mのうち114.5mを当社が施工しています。平成20年7月現在、路線上に位置する既設橋脚のアンダーピニング工が完了し、現在シールドトンネルを掘進中です。本号では、シールドトンネルの掘進について紹介します。

シールドトンネルの概要

本トンネルは、土被りが6m~7mと大変浅い条件下で少しでも土被りを確保することと、経済的断面とすることを考慮して、形状は矩形(シールド外径 7,820mm×4,720mm)であり、その施工延長は114m、線形は直線、セグメントが仕上げ面となる二次覆工省略型のシールドトンネルです。また、掘進に際しアンダーピニングが完了した既設橋脚の基礎杭(φ300PC杭×60本)を切断するため、開放型のシールドマシンを採用しています。

シールドマシンの特徴

これらの機能および装備により、機長6,500mm、総重量200tとなりました。シールドマシンの組み立てに際しては、高架下立坑の空頭が4.5mに制限を受けていたことから、高架下区道部に常設作業帯を確保した後、天井クレーンを設置して、機体を12分割して投入しました。

セグメントの特徴

二次覆工省略型であることと、矩形での剛性・耐力確保の観点から、住友金属工業(株)と当社で共同開発した合成セグメントを採用しました。(写真-2、3)

開放型矩形シールド工法の施工

開放型矩形シールドが掘進する地層はGL-約7mで、上部が関東ローム層、中間大部分が凝灰質粘土層、下部に東京層砂層となっています。これらの層は地下水を有しているため、切羽を解放して掘削する際(写真-4、5)の止水目的の地盤改良として、機内から切羽前方に向けて薬液注入工法を採用しています。
また、以下の理由から一日の掘進サイクルは、昼間に1リング(1m)です。

おわりに

国道20号(甲州街道)という重要幹線直下を、浅い土被りで開放型矩形シールドにより掘進することは、地上交通、ライフライン等に影響を与えるリスクが大変大きな工事ですが、掘進管理を万全に行い、地盤改良により切羽の地盤が安定していることを確認しながら掘進しています。

工事概要
工事名称 国道20号新宿地下歩道工事
工事場所 東京都新宿区新宿3丁目地先
発注 国土交通省関東地方整備局
設計 オリエンタルコンサルタンツ(株)
施工 鴻池・アイサワ特定建設工事共同企業体
工期 平成18年3月~平成21年1月
工事内容

シールド工  L=114.5m

合成セグメント 96R

鋼製セグメント 12R 可撓セグメント 1R

切羽防護工 一式

橋台工 1基

橋脚受替工 3基

構造物撤去工 一式

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446号(2008年09月01日)