コンピュータシミュレーションによる建物周辺の風環境予測システム
風環境予測とは
風環境予測とは、市街地内での建物周りに生じる複雑な風の流れを予測・評価する技術です。これまでは、風洞実験による方法が主でしたが、近年の情報技術の急激な進歩により、コンピュータによるビル風予測が現実的な費用で実務に適用できるようになってきました。予測結果は、風速コンター図※1、風速ベクトル図※2などでビジュアルに分かりやすく表現することができ、低層から高層建物まで建物規模・形状に関わらず、見えない風の影響を評価することができます。
※1 同じ風速値をもつ点を結んでできる曲線を示したもの
※2 風向を矢の向きで、速度を矢の長さで示したもの
予測制度の検証
コンピュータシミュレーションによる風環境予測の精度は、風洞実験との比較で検証しています。基本形状の建物群や実在市街地モデルによる検証を実施した結果、予測精度は実用上問題のないことが確認されています(図-1)。
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図-1 実在市街地モデルによる検証 |
防風対策事例
敷地外へのビル風の影響が懸念される場合は、植栽や防風フェンスなどで防風対策を行います。その効果をコンピュータシミュレーションで予測・検討しま す。この事例では、防風フェンスなしの左図に比べ、フェンスを設けた右図ではフェンス後ろ側の風速が低くなっていることがわかります(図-2)。
図-2 防風効果の解析例 |
(問い合わせ先) 技術研究所 伊藤真二 TEL.029(857)2000
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