Geo-KONG工法による支持力確保 低層構造物の地盤改良

保有技術の紹介

Geo-KONG工法(ジオコング工法)は、地中に静的に砂杭や砕石杭を打設して砂質地盤を締固める地盤改良工法です(関連記事ET242、269、 292、339、365号)。本工法は、主に河川堤防、道路、港湾施設、下水処理施設、建築構造物等の液状化対策として適用されており、平成19年末現在 で50件を超える施工実績を有しています。また、最近では、密実な砂杭(砕石杭)と杭間地盤で構成される複合地盤が大きな鉛直支持力を有するという特徴を 活かし、低層(直接基礎形式)の生活支援施設や立体駐車場等の支持力確保を目的として採用される場合も増加しています。
ここでは、低層構造物の支持力確保を目的とした本工法の適用について紹介します。

技術のあらまし

本工法(NETIS登録番号:KT-990271-A)は、(財)国土開発技術研究センターの技術審査証明や運輸大臣評価証等の技術評価を取得した信頼性の高い工法で、次の特徴が認められています。

  1. サンドコンパクションパイル工法と同等の地盤締固め能力を有する。
  2. 砂や砕石のほか、リサイクル材料(再生クラッシャランやスラグ等)も使用できる。
  3. 施工時の騒音・振動が極めて小さく、施工機の直近部でも規制値を十分に満足する。

施工実績

低層構造物の支持力確保を目的として本工法が採用された実績を表-1に示します。南浦和団地を除いた4件は液状化対策と支持力確保の両方を兼ねて適用され ています。5件とも杭基礎に比べて経済的で、再生クラッシャラン(RC-40)の利用を促進でき、さらに将来の解体工事の際に杭の撤去(引き抜き)が必要 ない等の理由により採用されました。
平成12年の潮見駅前A・B地区整地その他工事(写真-1)において地盤改良を行った立体駐車場では、都市基盤整備公団(現(独)都市再生機構)によって 沈下量の測定が建設中から完成後2カ月まで行われましたが、全測定点で沈下が発生せず(表-2)、本工法による十分な支持力増強効果が確認されています。
近年、老朽化した集合住宅等の建て替え工事が各地で進められており、また、東海地震、南海地震、東南海地震等の大規模地震に対する防災・減災が昨今の重要な課題であることから、社会の「安全・安心」に向けた本工法の今後の一層の貢献が期待されます。

(問い合わせ先) 東京本店 土木技術部 加藤 満 TEL.03(5617)7790

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443号(2008年06月01日)