大型物流センターの施工効率化

城陽流通センター

大阪本店 工事事務所
河野紀幸

はじめに

鴻池運輸(株)城陽流通センターは京都府城陽市長池にサントリー食品の物流コンペによる新センターとして計画されました(図-1)。

RC柱とS柱の特性を生かし高軸力を受ける1階中柱にはRC柱を、軸力の小さい他の柱にはS柱を採用したRCS造(※1)の2階建の建物で、ドライ製品倉庫とペットボトル、キャップ等を保管する包材倉庫の二種類の倉庫で構成されています。

工期が9カ月と短く、また躯体の施工時期が躯体職(大工、鉄筋、鳶工)の非常に忙しい時期と重なり工期短縮と労働者不足の解消を重点に、当現場では3項目の施工目標をたて実践しましたので紹介します。

 

 

(1)地中梁配筋の地組工法

大型流通センター特有のトラック待機スペースを最大限に利用して、地中梁の地組を実施し労働者不足を解消しました。

掘削と同時に少人数で大梁・小梁を地組し墨出後にクローラクレーンで吊り上げ設置することで労働力の平準化をはかりました(写真-1、2)。

 

 

(2)RCS柱システム型枠工法の合理化

当社の実績(ET423、426号参照)を参考に大阪の労働者事情を考慮し、また、最低限度の資材・労働力での施工を目指しました。土間配筋時に柱筋を先組み設置した上で、土間コンクリート打設後、RCS柱の施工は、システム型枠(900×900×5,500で84本)を採用し、6セットの14回転で施工を計画しました(写真-3、4)。

システム型枠においては、下端のノロ止めや建ち直しワイヤー、コンクリート打設ホッパー等を改良し、その結果、型枠工(組立・解体)で4名・コンクリート相判で3名、計7名の少人数での施工ができました(写真-5、6)。

(3)外部足場の合理化

大阪北港流通センター工事(最高部高32.5m)で移動足場を採用(ET427号参照)しましたが、今回は最高部高16.9mと低層のため、自立移動足場で計画し採用しました。

中間ステージ(GL+6.8m)を壁下地材ボードの加工場所として計画(積載荷重240kg/m2)。従来枠組足場と比較しても、施工能率は落ちずに移動足場の方が材料取り込み等でスムーズであり作業効率が上がりました(写真-7)。

おわりに

今回の3項目の工法は、当初現場計画以上の良好な結果が得られ工期短縮に寄与しました。今後の施工計画の参考になれば幸いです。

 

※1)RCS造とは

RCS造は柱をRC造、梁をS造とした架構形式であり、近年、大スパンを有する大型ショッピングセンターや、柱の軸力が大きい大型物流倉庫等で多く採用されています。

RC造柱とS造梁の仕口部には塞ぎプレートを柱型状に取り付け、仕口部内のコンクリートを拘束しています。柱・梁の応力は、仕口部内を通した梁部材、柱主筋、塞ぎ板により拘束されたコンクリートの支圧により伝達されます(図-2)。
RCS造のメリットとしては柱をRC造とすることで鉄骨量を軽減でき、また、S造の場合に柱部材に想定されるコラム鉄骨材の納期・スケジュールの問題も解決されます。

工事概要
工事名称 鴻池運輸~城陽流通センター新築工事
工事場所 京都府城陽市富野池ノ内1-2他26筆
発注 鴻池運輸(株)
設計・監理 (株)内藤建築事務所・~鴻池組
施工 (株)鴻池組
工期 平成19年6月~平成20年2月
工事内容

構造 倉庫棟:RCS造 2階

       管理棟:S造 2階 付属棟:S造 1階

敷地面積 50,903.50m2
建築面積 18,276.46m2
延床面積 30,983.88m2

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439号(2008年02月01日)