温度制御噴霧式覆工コンクリート湿潤養生工法 K-tics

保有技術の紹介

トンネル覆工コンクリートの養生技術

近年、社会資本整備にあたりライフサイクルコストの低減や長寿・延命化が強く求められるようになり、これら構造物の重要構成要素であるコンクリートの高品質化、高耐久性化が従来以上に求められるようになってきています。一般に無筋構造物であるトンネル覆工コンクリートについても、山陽新幹線における覆工コンクリート剥落事故以降、品質や養生に対する考え方が大幅に見直され、高い品質と耐久性が求められるようになりました。

温度制御噴霧式覆工コンクリート湿潤養生工法(K-tics)とは

本工法は、型枠セントルを脱枠後、コンクリートを一定期間、湿潤状態で養生する工法です。セントル後部に連結された養生台車に遮水シートと端部締め切り用の空気充填膜が取り付けてあり、コンクリートとシートの間に30~60cm程度の密閉された養生空間を確保します。養生空間に粒径45~60μmの微粒の霧を発生させることで湿度90~100%の湿潤状態を維持します。併せて、養生温度を、事前の温度応力解析結果に基づき設定された「経過時間~養生温度」曲線に制御することで、最適な養生環境を実現します。

特徴

本工法は、単なる湿潤養生にとどまらず、養生温度管理による温度ひび割れ対策としての効果を有することが最大の特徴であり、コンクリート構造物の長期耐久性の向上、ライフサイクルコストの低減、長寿延命化を実現します。

  1. 温度応力解析結果に基づく「経過時間~養生温度」曲線に合わせた最適な養生環境を実現し、温度応力に起因するひび割れ発生を抑制します。
  2. 湿潤養生によりコンクリート水和反応を積極的に促進することでコンクリートが緻密化され、強度が向上します(実績:通常の気中養生に対して材齢7日で約20%、28日で約35%向上)。
  3. 湿潤養生により、乾燥収縮によるひび割れの発生が大幅に低減します。

採用実績

現在、島根県発注の一般国道488号長沢バイパス改築(改良)(仮称)長沢1号トンネル工事で採用中です。当現場では、本工法で1週間の養生期間を確保しています。また、今後、複数のトンネルや明かり構造物であるアーチカルバートでの採用を予定しています。

(問い合わせ先) 大阪本店 土木技術部 後藤裕一 TEL.06(6343)3290

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439号(2008年02月01日)