技術広報誌ET

技術広報誌ET 2019年発刊号

平成30年度地盤工学会地盤環境賞
を受賞

495号(2019年10月01日) 広島市災害廃棄物処理業務 環境エンジニアリング部 花木 陽人

はじめに

公益社団法人地盤工学会(JGS)より平成30年度地盤工学会賞が発表され、当社の「広島市災害廃棄物処理業務」での業績が「地盤環境賞」を受賞しました。今回の受賞は、平成26年8月の広島豪雨災害における災害廃棄物処理に際して、分別した土砂を土木資材として有効に再生利用したことなどにより、非常に高いリサイクル率を達成したこと、さらに本業務から得られた知見は、その後の市街地や埋め立て地盤における再開発工事など、社会資本更新時に発生する混合廃棄物への対応策としても応用度が高いことを評価されたものです。

地盤工学会賞には、「環境賞」、「技術賞」、「研究・論文賞」の3部門あります。今回受賞した地盤環境賞は、地盤工学分野において環境負荷を低減する新しい技術開発や環境保全・創造に寄与した事業・社会活動などで、社会的貢献度が高い業績に贈られる賞です。

広島市災害廃棄物処理業務

当業務は、平成26年8月20日の広島豪雨の際の大規模な土砂災害で発生した約51万tにも及ぶ大量の廃棄物混じりの土砂を分別・処理したものです(関連記事ET481号)。

振動スクリーンなどの機械式分別(写真-1)や、風力選別、手選別などを適切に組み合わせることで、高精度に分別しました。土砂は、木くずや土のう袋の繊維片などの細かなものまで分別し、海面埋立資材として再生利用しました。その他、コンクリートがらは再生骨材に、可燃物は固型化燃料などに、木材はバイオマス原料や堆肥などに再生利用しました。最終的に約51.3万tを処理し、当初目標の98.9%を超える99.8%の高いリサイクル率を達成しました(表-1)。また、丁寧な手作業により、土石流にさらわれた被災者の皆さんの思い出の品々を数多く回収しました。その一部ではありますが持ち主にお返しすることができたことは、関係者一同の励みになっております。

写真-1 自走式振動スクリーンによる分別

写真-1 自走式振動スクリーンによる分別

表-1 災害廃棄物の品目別重量及び重量比率
賞状

おわりに

当業務での経験は、熊本地震や平成30年7月の西日本豪雨などに伴う災害廃棄物処理でも活かされています。また、当業務では平成29年地盤工学会関西支部賞社会貢献賞、および平成29年度廃棄物資源循環学会賞有功賞も受賞しています。ここでの業績は、発注者である広島市、ご協力いただいた周辺住民の方々、労苦をともにした協力会社の皆様など、関係者全員の成果であり、末筆ながらここに関係各位に感謝の意を表します。

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495号(2019年10月01日)の記事

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