技術広報誌ET

技術広報誌ET 2019年発刊号

『鴻池組RCS接合構法』
建築技術性能証明を改定して取得
-お客様ニーズに応えて設計自由度を拡大-

494号(2019年07月01日) 技術研究所 片岡隆広

はじめに

RCS構法は、圧縮力に強い鉄筋コンクリート(RC)造を柱に、軽量で曲げに強い鉄骨(S)造を梁に用いた合理的なハイブリッド構造です。2008年に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得して以来、大スパンかつ積載荷重の大きい物流倉庫を中心に適用実績を重ねてきました。今回、お客様からのご要望が多かった内部空間のさらなる有効活用と設計自由度の向上を目的に構造実験を重ね、建築技術性能証明の改定を行いました(GBRC性能証明 第08-04号 改1)。これにより、柱と梁の偏心や、より大きな段差をつけた梁の配置が可能になるなど、空間構成の自由度が拡大しました。

図-1 主な改定内容

図-1 主な改定内容

主な改定内容

① 柱と梁の偏心
改定前は柱心と梁心が一致している必要がありましたが、今回の改定により柱と梁を偏心させることが可能になりました。外周梁を壁側に偏心させることで、内部空間の拡大に加え、外壁を支える金物を大幅に削減できます。

② 梁段差の拡大
改定前より大きな段差をつけた梁の配置が可能になりました。同一フロア内で階高をより大きく変更できるため、トラックバースの計画などでお客様のニーズに柔軟に応えることができます。

③ 高強度鋼材の使用
改定前より適用できる鋼材の範囲を広げ、より高強度の鋼材(鉄骨梁)を使用することが可能になりました。これにより梁の断面寸法を小さくすることができます。

写真-1 構造実験

写真-1 構造実験

写真-2 RCS構法による倉庫内部

写真-2 RCS構法による倉庫内部

図-2 建築技術性能証明書

図-2 建築技術性能証明書

おわりに

今回の改定によって向上した設計自由度を活かし、物流倉庫やショッピングセンターなどを中心に、今まで以上にお客様のニーズに応える提案を積極的に行いたいと考えています。

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494号(2019年07月01日)の記事

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