3Dプリンターに代表されるデジタル工作機器は、小型化や低価格化などにより急速に普及し、身近な存在となりつつあります。このようなデジタル工作機器を用いて創造物を制作する技術をデジタルファブリケーション(以下、デジファブ)と呼んでいます。
総務省の検討会において定義されている工作機器は、物を制作する機器だけでなく、センサーや3Dレーザースキャナー等を含めたデジタルデータを扱う機器全体を含むものとされています(図-1)。
現状、建設業におけるデジファブの定義は定まっていませんが、最近注目されている現場での資材組み立て等を検討するコンピューターグラフィックス技術、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などの「xR技術」(図-2)、ドローン技術、ロボットなどの活用も含まれると考えます。
図-1 デジタルファブリケーション機器等
(出典) 総務省情報通信政策研究所「ファブ社会の基盤設計に関する検討会報告書」(平成27年7月)
図-2 xRの概念
当社では、BIMデータを有効に活用して先端ICT機器と連携させることにより、施工現場での生産性向上や品質精度の向上を目指しています。現状は新設建物のBIMデータと3Dスキャナーによる既存建物の点群データを組み合わせることによる取り合い検討(図-3)、同じくBIMデータとHMDとの連携により現場の中に仮想空間をつくることで実作業サポートの可能性を検証する(写真-1)等を行っている段階です。
今後も新技術を積極的に取り入れ、「いつでも、どこでも、誰でも」必要な量だけつくれるというデジファブの特性を生かした生産プロセスの変革に取り組んでいきます。
図-3 既存建物データを取り込んだ3Dモデル
写真-1 MRの現場試行状況(MSホロレンズ)
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