技術広報誌ET
当工事は、UR都市機構の発注により、URの実験用施設「超高層住宅実験タワー」を除却する設計・施工一括発注型の工事です。当タワーは、高層住宅の居室環境、排水環境、バルコニーの構造検討などを研究するために建てられたもので、その役割を終えて解体することになりました。鉄骨造のタワーの高さは108mあり、鉄骨重量は710tに達します。
写真-1 タワー全景
当タワーは、複雑なラチス構造を有する鉄骨造の超高層建造物で、除却にあたっては安全に最大限配慮した方法が求めらました。タワー最上部から1スパン(6m)毎に人力によるガス切断で5~7ブロックに大分割切断(図-1)し、荷振れに配慮しながらタワークレーンにより地上に下ろしました。作業床は、外部は移動式昇降足場を採用し、内部の必要箇所に開口が生じないようにくさび式足場を設置することで安全を確保しました。
写真-2 移動式昇降足場
図-1 タワー切断概要図
敷地の東側にはJR八高線が近接しており、高所作業時の作業員の転落防止対策はもとより、工具類や解体物の落下防止、ガス切断時の火花落下防止対策を確実に行うことが求められていました。転落・落下防止対策として、タワー外周部には垂直養生ネットを、内部にはフロア毎に水平養生ネットを隙間なく設置しました。また、火花落下防止対策として、切断箇所の形状に合わせて薄鉄板で製作した火受けフードを取り付けました。
写真-3 火花養生対策
写真-4 切断ブロック荷下ろし状況
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