技術広報誌ET

技術広報誌ET 2025年発刊号

日コ交差点の立体交差化による交通渋滞の解消

アビジャンフライオーバー 516号(2025年1月1日) 国際事業部 工事事務所 会田 稔 / 堀 仁志

はじめに

アビジャンの主要幹線であるジスカールデスタン(VGE)通りは、国際幹線の一つであるアビジャン・ラゴス回廊に連絡する道路ネットワークの一部です。当工事の施工箇所であるVGE通りとドゴール通りの交差部(日本コートジボワール友好交差点、以下「日コ交差点」という)は渋滞が最も深刻なボトルネックとなっており、後背地である内陸国への国際物流に影響を及ぼすため、その改善が緊急の課題となっていました。1970年代の経済成長期に集中的に整備されましたが1999年から10年続いた政治・軍事危機の間は新たな開発整備は行われませんでした。一方、道路交通量はこの間にも高度経済成長により増加し、随所で慢性的な交通渋滞が発生しています。
当プロジェクトは、日コ交差点の立体交差化により交通ボトルネックを解消し、市中心部と郊外を往来する交通流を円滑化させ、道路利用者の利便性の向上と物流輸送の効率化を図ることを目的としています。

図-1 コートジボアール・アビジャン位置図

図-1 コートジボアール・アビジャン位置図

フライオーバーの架設方法

当工事の上部工は、PCホロースラブとPC箱桁の2種類からなり、現道交差部を跨ぐP13-P14径間は交通を妨げないように施工する必要がありました(図-2)。そのため、この区間をP13およびP14を起点とする片持ち架設工法で施工を行いました。片持ち架設工法とは、橋脚から左右対称にコンクリートを張出していく架設方法で、ワーゲンと呼ばれる架設用移動作業車(図-3)を使用して施工を行います。片持ち架設工法は地上からの支保工を必要としないため、桁下空間の制約が少なく架設地点の地形条件や制約条件に影響を受けずに施工することができるのが特長です。
移動作業車の組立は、すぐ横に既設橋があり、地上で下段作業台を組み立てて吊り上げることができなかったため、柱頭部支保工の一部を残して下段作業台を組み立てました(写真-2)。

図-2 日コ交差点フライオーバー(高架化)位置図

図-2 日コ交差点フライオーバー(高架化)位置図

図-3 架設用移動作業車(ワーゲン)概要図

図-3 架設用移動作業車(ワーゲン)概要図

写真-1 柱頭部支保工

写真-1 柱頭部支保工

写真-2 移動作業車(ワーゲン)組立

写真-2 移動作業車(ワーゲン)組立

施工上の問題点と対応

当工事の橋脚は、美観を重視するため細みのデザインで設計されており、2ブロックのコンクリート打設時の桁たわみ量が予想値以上の差が生じました。これは当初の解析が左右コンクリートを打設後の計算値で検討されていたためで、実際には左右のコンクリートは順番に打設されるため、たわみが予想値より大きくなりました。当初計画は左右のコンクリートを打設した後の計算のみでカウンターウエイトの数量が計画されていましたが、片側ずつのコンクリート打設、ワーゲンの移動と施工段階を細かく分けて再解析しカウンターウエイトの数量を変更しました(図-4、写真-3)。

図-4 カウンターウエイト配置状況図

図-4 カウンターウエイト配置状況図

写真-3 カウンターウエイト載荷状況

写真-3 カウンターウエイト載荷状況

写真-4 ワーゲンによるPC箱桁施工状況

写真-4 ワーゲンによるPC箱桁施工状況

写真-5 施工完了

写真-5 施工完了

おわりに

2024年8月30日に開通式が行われ、現在は交通渋滞が解消されスムーズな交通となっております。今後のアビジャンの益々の発展に期待したいと思います。

工事概要

工事名称 第二次日本・コートジボワール友好交差点改善計画
工事場所 コートジボワール共和国 アビジャン市
発注者 コートジボアール共和国 機材道路維持管理省
施工者 鴻池・ピーエス三菱共同企業体
工期 2021年3月~2024年12月
工事内容 跨道橋工:
  幅員 W=9.7m
  延長 L=760m
  橋梁 L=589.5m
  L型擁壁 L=170.5m
  [1]PCホロースラブ L=10@21=210m
  [2]先行PC箱桁 L=26+47=73m
  [3]PC箱桁 L=33.5+65+36=134.5m
  [4]PCホロースラブ L=2@23+6@21=172m
 VGE道路工:
  車道幅員 W=2@3.5=7m
  西行 L=1,266m
  東行 L=1,200m
 交差点整備:
  ソリブラ交差点、マルコリ交差点 2箇所

516号(2025年1月1日)の記事

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