温室効果ガスを減らし地球の温暖化を防いでいくために、建物が消費するエネルギーを削減するZEBの取り組みが注目されています。当社では、東西の研究開発拠点であるつくばテクノセンターと大阪テクノセンターをZEB化し、持続可能な社会の実現に向けた研究・開発に取り組んでいます。つくばテクノセンターは2017年にZEB化改修工事を行いZEB Ready認証を取得、大阪テクノセンターは2021年に新築で『ZEB』を実現しました。竣工後も、高度なエネルギー管理システムにより建物のエネルギーを見える化して管理し、室内環境とエネルギー性能の最適化を図っています(図-1)。
図-1 BEMS*1管理画面(つくばテクノセンター)
*1 Building Energy Management System:ビル・エネルギー管理システム
ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略称で、快適な室内環境を保ちながら、負荷抑制、自然エネルギー利用、設備システムの高効率化により省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した建物のことです(図-2)。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2030年には新築される建物はZEB基準の水準の省エネ性能が確保されていることを目指すべきとされています。
図-2 一次エネルギー消費量収支ゼロの概念図
つくばテクノセンターおよび大阪テクノセンターにおける2023年の一次エネルギー消費量実績値について、ZEB認証時の基準値*2、設計値*3との比較を図-3、図-4に示します。つくばテクノセンターでは、基準値に対する正味の削減率は設計値が59%であったのに対し実績値は76%で、Nearly ZEB相当の実績となっています。また、大阪テクノセンターでは、設計値が101%であったのに対し実績値は105%となっており、実績値においても『ZEB』相当の実績となっています。つくばテクノセンターは、既存建物の改修によるZEB化であるため、建物を利用しながらの改修工事となりました。そのため既設の設備システムを大きく変えることが困難という制約があり、新築の大阪テクノセンターよりも低い削減率となっています。
*2 設備毎、地域毎、室用途毎により定められる基準となる標準的な一次エネルギー消費量
*3 実際の建物の設計仕様条件を基に算定した一次エネルギー消費量
図-3 年間一次エネルギー消費量の比較
(つくばテクノセンター)
図-4 年間一次エネルギー消費量の比較
(大阪テクノセンター)
自然エネルギーを活用したZEBの実現に寄与する技術として、現在は地中熱利用技術に関する研究に取り組んでいます。自社施設の新築・改修によるZEB化を通じて、造るだけでなく運用面も含めたエネルギー削減への挑戦を続け、ZEBの普及に向けてさらなる技術の開発やお客様へのご提案に努めていきます。