技術広報誌ET

技術広報誌ET 2017年発刊号

多様な音環境ニーズに応える
音響実験棟の新設

484号(2017年01月01日) 技術研究所 桂 充宏

当社技術研究所(つくば市)で建設を進めていた音響実験棟の建屋が完成し(写真-1)、現在、各実験室の音響調整工事を行っています。実験棟は基礎実験や検証試験での使いやすさを考え、シンプルでコンパクトな構成となっています。棟内には、「残響室」、「無響室」、「箱型実験室」および「計測室」が配置されています(図-1、表-1)。

写真-1 実験棟外観

写真-1 実験棟外観

図-1 配置図

図-1 配置図

表-1 実験室の主な用途

表-1 実験室の主な用途

残響室

残響室はコンクリートで壁・床・天井を反射性に仕上げかつ不整形に造られています。音があらゆる方向に伝搬することで、室内に音が均等に分布する状態を近似的に実現した実験室です(写真-2)。

無響室

無響室は外部から音や振動の進入が無いように設計され、さらに内部の壁・床・天井を高い吸音性に仕上げることで、反射音の影響を受けずに対象音源からの直接音だけを測定することが可能な特殊空間を持つ実験室です(写真-3)。併設する残響室との間には、試験体を設置する開口を備えており、残響室との併用により遮音性能測定を行います。

箱型実験室

箱型実験室は集合住宅を模した壁式鉄筋コンクリート構造2階建ての実験室です(写真-4)。この実験室では、集合住宅における音のトラブルに多い上階からの音、いわゆる床衝撃音問題に関する実験研究を主に行います。

これらの実験室を活用することで、音の問題発生後の技術検討だけでなく、遮音設計に必要な音響データの収集や整理、さらにお客様のニーズに応えた新技術や新材料の開発に積極的に取り組んでいきます。

写真-2 残響室・無響室の外観

写真-2 残響室・無響室の外観

写真-3 無響室の内部

写真-3 無響室の内部

写真-4 箱型実験室

写真-4 箱型実験室

484号(2017年01月01日)

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