東日本大震災以降、建築物の省エネルギー化への関心の高まりを受け、当社ではZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に関する研究開発に取り組んできました。技術研究所のZEB化は、その成果を既存ビルの改修というケースで実現するものです。東日本大震災以降、建築物の省エネルギー化への関心の高まりを受け、当社ではZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に関する研究開発に取り組んできました。技術研究所のZEB化は、その成果を既存ビルの改修というケースで実現するものです。
対象建物である技術研究所の本館は、1997年の竣工以来、約20年間研究開発の拠点として使われてきました。この建物を使いながらZEB化改修することで、今後増加が予想される既存ビル改修のモデルケースにすると共に、採用した最新の要素技術を検証する体験型実証棟として運用する予定です(写真-1)。対象建物である技術研究所の本館は、1997年の竣工以来、約20年間研究開発の拠点として使われてきました。この建物を使いながらZEB化改修することで、今後増加が予想される既存ビル改修のモデルケースにすると共に、採用した最新の要素技術を検証する体験型実証棟として運用する予定です(写真-1)。
写真-1 ZEB化改修中の本館
2015年12月に資源エネルギー庁から以下の定義が示されました。何れも再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量を削減することが条件となっています(図-1)。
図-1 ZEBの定義 ※資源エネルギー庁HPより引用
今回のZEB化改修では、エネルギーを「減らす」、「上手に使う」、「創る」という3つのコンセプトのもと、以下の要素技術を採用しました。これにより一次エネルギー消費量は一般的な標準ビルと比較して51.7%削減することができます。また、太陽光発電設備による創エネルギー分を加えると、削減率は59.7%となります(図-2,図-3)。
図-2 ZEB化改修計画の概要
図-3 一次エネルギー消費削減量
○エネルギーを減らす
建物の周りに存在する様々な外的要因によるエネルギー負荷を削減することで、ハイパースリムな建物を目指します。
[採用技術] 後付けLow-Eガラス、後付け二重窓による複層化、日射追従ルーバー、太陽光追尾自動ブラインド、内貼断熱、吹抜けを利用した最適自然換気
○エネルギーを上手に使う
居住者の快適性を確保しながら徹底的にエネルギーロスを減らし、効率の良いエネルギー制御や運用を行ないます。
[採用技術] 高効率空調機器への更新、パーソナル吹出によるタスク&アンビエント空調、輻射冷暖房、CO2連動全熱交換換気、大温度差変流量制御、空調変風量制御、自動調光型LED照明、タスク&アンビエント照明、超高効率変圧器、BEMS※による最適な統合制御と管理
※ BEMS:Building Energy Management System (ビルエネルギー管理システム)
○エネルギーを創る
自然界に存在する再生可能エネルギーを積極的に利用することで、消費エネルギーの削減と補完を行ないます。
[採用技術] 太陽光発電による電力系統連系、太陽熱の空調熱源利用、クールトレンチによる地熱回収
建物を使用しながらの工事であるため、技術研究所関係者との打ち合わせを密に行い、所員の執務空間および動線が確保できる作業計画としました。また、建築工事と設備工事の実施時期を調整することで、空調停止期間の縮小や作業の平準化に配慮して工事を進めました。主な工事の実施状況を写真-2~7に示します。
写真-2 日射追従ルーバー
写真-3 後付けLow-Eガラス
写真-4 吹抜け頂部に設けた自然換気用窓
写真-7 屋上に設置した太陽熱パネル
写真-5 改修前の照明と空調吹出口
写真-6 改修後の照明と空調吹出口
(LED、パーソナル吹出口)
当ZEB化改修工事は、「平成28年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に応募・決定されたことから、ZEBの実現に寄与する高性能建材や設備システムに関わる工事費用の一部が補助されます。国の補助金を活用したZEB事業として検証することで、お客様への提案に活かしていきます。
なお、補助金支給の条件となっているBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の認証を第三者評価機関より取得しています(図-4)。
図-4 BELS認証
昨年9月に着工した改修工事も最終段階に入り、2月からの実運用を予定しています。竣工後はBEMSにより収集したデータと事前に計測したデータとを比較検証し、改修工事による省エネ効果を確認します。また、当社のZEBに対する先進の取り組みや省エネルギー技術を体感できる施設として、温室効果ガスの削減を推進したいお客様のニーズに応えるべく、ZEB化改修後の技術研究所を活用する予定です。
工事名称 | 鴻池組技術研究所ZEB化改修計画 |
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工事場所 | 茨城県つくば市桜1-20-1 |
設計・施工 | (株)鴻池組 |
工期 | 平成28年9月~平成29年1月 |
建物用途 | 研究所(改修対象棟は事務所用途) |
構造・規模 | 鉄筋コンクリート造(免震構造) 地上3階 建築面積 1,206㎡ 延床面積 3,104㎡ |