施工段階におけるBIMの活用

設計本部 設計管理部 BIM推進課 内田 公平 

はじめに

当社では、2011年からBIM(Building Information Modeling)への取り組みを始めましたが、2014年より新たなステージへと突入しました。
これまでは、企画段階でのデザイン検討や、お客様へのプレゼンテーション等を中心に進めてきましたが、新たに「施工BIM検討WG」を発足させ、現場での取り組みを開始しました。

 

現場で活用されるBIMのメリットとは

建設現場でのBIM活用の最大のメリットは、BIMモデルによる合意形成にあります。施工の前段階で、工法や手順、コスト等の様々な検討を繰り返すことにより、技術的にも品質的にも最善のプランを創り出すことができます。そのプランを元に、お客様や関係者に、視覚的な確認と内容の合意をいただくことで、手戻りの減少や品質の向上に役立てています。
「(仮称)今里ビル新築工事」では、建築設計のモデルと構造計算結果から作成したモデルを統合し、設備の干渉確認や設備会社との打合せに利用しました。さらに、配筋モデルを作成し、配筋納まりの検証等を実施しています(図-1~図-4)。

「(仮称)重い病気を持つ子どもと家族を支える みんなの「お家」建築事業」では、設計事務所作成の2D設計図から施工段階での活用を前提に、BIMモデルを作成しました。作成したモデルは、お客様との打合せを始め、仮設計画や躯体図作成に活用しています(図-5)。 

 

モデルデータのさらなる活用

「京都産業大学(仮称)新2号館新築工事」では、階段の納まり部の検討を行いました。検討部位は、協力会社同士での取り合いも多く、複雑であるために、お互いのイメージの統一が重要です。今回、BIMモデルを3Dプリンターを使いモデルのデータを出力(造形)しました。その出力(造形)模型を使った打ち合わせにより、スムーズに検討を進めることができました(写真-1)。

 

今後の展望

 プロジェクトの関係者がBIMモデルを使い、プロジェクトの初期段階から共通の情報を利活用しながら進めることによって、事前にリスクを回避し、タイムリーにコストを把握するなど、フロントローディングの効果を徐々に発揮しつつあります。今後は、建築生産のあらゆる段階での生産性の向上に繋げていければと考えています。

 

 

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478号(2015年07月01日)