建築基準法等の一部改正

TECH NOTE

法改正の経緯

2005年11月に発覚した耐震偽装事件により、建築構造設計への信頼は大きく損なわれました。また、事件を受けて実施された共同住宅のサンプリング調査では、自分に都合良く法律や告示を解釈した「不適切な構造設計」が一部で行われていることも明らかになりました。
今回の法改正は2007年6月20日に施行されましたが、その大きな目的として、「確実に建築物の安全性を確保する」ことや「構造設計への信頼を回復する」ことを挙げることができます。

法改正の概要

耐震偽装事件により明らかになった問題点として、建築確認や検査が厳密に行われていなかったことや専門分化した昨今の設計体制に旧来の建築士法が合致していないこと、さらに、瑕疵発生時の住宅購入者の保護が十分ではなかったこと等が挙げられています。これらを解決するために行われた今回の法改正の概要は以下の通りです。

(1)建築確認・検査の厳格化
(2)指定確認検査機関の業務の適正化
(3)図書保存の義務付け等
(4)建築士等の業務の適正化および罰則の強化
(5)建築士、建築士事務所および指定確認検査機関の情報開示
(6)住宅の売主等の瑕疵担保責任の履行に関する情報開示

これらの中で、特に「(1)建築確認・検査の厳格化」は、従来の建築確認システムを大きく変えるもので、設計工程や申請工程に大きな影響を及ぼします。最も大きな変更内容は規模や構造計算の方法により、構造計算適合性判定が義務となる建築物が定められ、そのため建築確認の審査期間が最大70日まで延長可能となったことです。また、提出設計図書の増加等により、設計期間が従来よりも大幅に長くなると予測されています。今回の法改正の影響は構造設計だけではな く意匠設計、設備設計、あるいは建築生産システム全般に及ぶものといえます。

今後のスケジュール

法改正は全体として三段階で行われる予定となっており、今回の改正はその第一段階にあたるものです。第二段階としては「建築士法の一部改正」が予定されており2009年6月までには構造設計一級建築士や設備設計一級建築士による法適合チェックが義務付けられます。また、その後に第三段階として「住宅の瑕疵 担保に対する法律」が施行され、住宅の購入者保護の強化が図られる予定になっています。

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432号(2007年07月01日)