「RC柱S梁接合部構法」性能証明を取得

RCS接合構法

東京本店 建築設計部
岩佐州紘

はじめに

当社は、2008年5月に(財)日本建築総合試験所(以下、GBRC)より「RCS接合構法‐柱梁接合部をふさぎ板で覆った梁貫通型RC柱S梁接合部構法‐」の建築技術性能証明を取得しました(GBRC 性能証明 第08-04号)。
平成19年6月20日に施行された改正建築基準法では、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物について、都道府県知事または指定構造計算適合性判定 機関によって構造計算適合性判定を受けることが義務付けられるようになり、特に本構法のような特殊構法の審査においては、相当の技術的根拠が求められるようになりました。今回のGBRCからの建築技術性能証明取得によって、技術的信頼性を高めるとともに確認申請の円滑化を図りました。また、本構法は大都市 圏臨海部を中心に需要が増大している中高層の大型倉庫や、大都市近郊の大型ショッピングセンター(ショッピングモール)のマーケットをターゲットとしてい ます。
なお、GBRCへの申請は(株)新井組と共同して行いました。

構法の概要

本構法は、柱を鉄筋コンクリート造、梁を鉄骨造とし、柱梁接合部がふさぎ板で覆われた梁貫通型の接合部構法です(図-1)。
梁をS造とすることによって軽量化され、スパンの拡大が可能です。RC造とした柱は、圧縮力や地震・風による横揺れに対して強く、高い階高が可能です。また、鉄骨価格が高騰している今日では、柱をS造もしくはCFT造とした場合と比べて、より経済的な設計が行えます。接合部は、ふさぎ板で柱梁接合部コンクリートを拘束するため、靭性に富んだ変形性能や、十分な耐力を確保しています。
さらに、段差梁を有する柱梁接合部(左右で段差が生じた梁が接続する柱梁接合部)についても適用可能であり、この段差量は最大で梁せいまでとして設計を行うことができます(図-2)。
なお、建築技術性能証明の取得に際し、平成19年11月にGBRCにて構造実験を行い、これらの特性を確認しています(写真-1、2)。

適用範囲

適用範囲は、建物高さ60m以下、また、段差梁を有する柱梁接合部への適用が可能です。

おわりに

今回取得した技術性能証明をもとに、「RCS接合構法」を中高層の大型倉庫や大型ショッピングセンター(ショッピングモール)などへ積極的に採用していく予定です。

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447号(2008年10月01日)