土木学会コンクリート標準示方書の改訂について
この春、土木学会のコンクリート標準示方書が改訂され、2007年度制定版として「設計編」、「施工編」、「維持管理編」、「ダムコンクリート編」の4つが発刊されました(「規準編」は2007年5月に発刊済み)。今回の改訂では、計画・設計・施工・維持管理における各編間の相互関係を明らかにすることで、実務において使い易くなりました。また、責任技術者のあり方や役割などが盛り込まれ、性能照査型の示方書としての完成度が向上したものとなっています。
以下に、設計編、施工編、維持管理編の主な改訂内容について示します。
設計編
2002年制定版の「構造性能照査編」と「耐震性能照査編」が一つにまとめられ、今回の「設計編」となりました。これまで「施工編」にあった耐久性照査とひび割れ照査の章が本来あるべき「設計編」に移行されるとともに、性能照査型として基本事項である「要求性能」と設計段階で特に重要な作業である「構造計画」に関する章が新たに設けられました。また、[本編]とは別に[標準]と[参考資料]がまとめられ、[標準]では[本編]の適応範囲を限定することで簡単な方法で性能が満足される方法を示し、効率性と簡便性が考慮されています。 |
![]() 出典:社団法人土木学会 |
施工編
2002年制定版の性能照査型を継承した[本編]、標準的な材料および施工方法を具体的に示し、共通仕様書的に使えるようにした[施工標準]、従来の検査の章を独立させた[検査標準]、特殊コンクリートを扱う場合の標準施工としての[特殊コンクリート]の4つから構成されています。また、前述したように、耐久性やひび割れ発生の照査に関する事項は「設計編」に移行しました。 |
![]() 出典:社団法人土木学会 |
維持管理編
制定後初の改訂となりますが、制定からそれほど時間が経過していないことなどから内容の基本部分に大きな変更はありません。しかし、ISOなどの国際基準との整合性を図るために、用語の定義が修正されました。主なものとしては、「補修」と「補強」があります。「補修」とは、美観・景観や耐久性の回復もしくは向上を目的とした対策をいいます。建設時の性能まで力学的な性能を回復させる対策を含むため、従来補強工法とされた鋼板接着なども、初期性能を超えなければ「補修」となります。一方、「補強」とは建設時に保有していた性能より、安全性や力学的な性能を向上させる対策をいい、耐震補強などがその対象となります。 |
![]() 出典:社団法人土木学会 |
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