『堤防改修工事における耐久性を確保した法面保護対策工』

九州支店 工事事務所
田中隆樹

柳川市大和町は福岡県の南部に位置し、南に有明海、東西を矢部川・塩塚川に囲まれ、江戸時代からの干拓によりできた町です。この地域では、農業・漁業が 盛んで、特に有明海で生産される「福岡のり」の一大産地として有名です。また、大相撲第10代横綱「雲龍」の出身地で、全国で唯一の競艇学校もあります。
当工事は、九州農政局「有明海東部保全事業」の一環として、自然の猛威より農地などを防護する目的で、総延長5,500mのうち、約900mの堤防改修工事を行うものです。
今回は、堤防改修工事のうち砕石と石灰を混合した安定処理材を用いた法面保護工法について紹介します(写真-1)。
堤防の完成形では、法面にコンクリートブロックによる被覆が計画されていますが、分離発注となっている被覆工事は2年後以降の着手となるため、耐久性を確保した仮設の法面保護対策工が必要となりました。
工事では、砕石工場で製造された安定処理材(切込:石粉=80:20、石灰系固化材3%)を10トンダンプで搬入し、バックホウと人力で敷き均した後、 小型アスファルトフィニッシャーを改造したローラー巻上げ機と振動ローラー(1トン級)により法面を転圧します(写真-2)。
工事自体は非常にシンプルなものですが、既に施工完了している隣接工区のFe石灰による法面保護と比較しても、耐久性、防草対策、美観ともに優れています。さらに、完成形施工時には安定処理材を基礎材として利用することにより、産業廃棄物の発生も無く、環境に配慮した施工を目指しています(写真-3)。

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461号(2011年04月01日)