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正面と川側で趣が異なる、
粋な構え
木造2階建の和館は、鴻池家が居住する本宅として、1910年(明治43年)に建てられました。当時の大阪町屋の伝統に基づく希少な名建築とされています。
和館の南側にはかつて伝法川が流れ、川から敷地内に入れるようになっていました。川から見た和館は、正面とまったく異なる外観が特徴的。屋根の軒まわりが銅葺き、数寄屋の意匠が採り入れられました。川に面して1階と2階に縁側が設けられ、縁側から川に釣り糸を垂らすこともできました。
大阪商家の暮らしの
息づかいを伝えて
1階正面は出格子と大戸を構え、大阪の商家らしい表構えをなしています。玄関まわりや居室の欄間には、鴻池組にちなんだ鳳凰のモチーフが多く採用され、創業家としての志を彷彿とさせます。川に面した南側の座敷は「浜座敷」と呼ばれ、往時の伝法川の絶景を享受した暮らしのおもかげを伝えます。
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格子窓
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階段手すり親柱丸彫り彫刻
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広縁手すりの親柱彫刻に「マルキタ」の社章
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鳳凰の透かし彫り欄間
相原雲楽による
彫刻美があちこちに
2階の外観は、白い漆喰の壁に格子窓を開き、両端に袖うだつを構えています。居室や廊下、階段に見られる彫刻は、彫刻家・相原雲楽によるものです。階段手すりの上には、狛犬の彫刻が凛然とたたずみ、空間を引き締めています。その下の柱には「庚戌中暑当楼上ニテ刻雲楽刀」とあり、明治43年(庚戌年)に雲楽によって製作されたことがわかります。
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2階座敷
建築に携わった
3人の匠
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くぼた こさぶろう久保田 小三郎(1868~1934)
洋館・和館の設計を行う。建築家・辰野金吾に師事し、日本銀行本店、旧大阪図書館の施工に携わる。アール・ヌーヴォー建築として有名な旧松本健次郎邸の工事監督、和館設計も務めた。
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あいはら うんらく相原 雲楽(1878~1954)
洋館・和館の装飾・彫刻を手がける。彫刻家・高村光雲に弟子入りした後、住友家に認められ、住友本家および須磨別邸、住友銀行、旧大阪図書館、旧松本健次郎邸、大阪倶楽部などに多くの彫刻作品を残している。
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きうち しんたろう木内 真太郎(1880~1969)
洋館玄関ホールのステンドグラスを制作。日本最初のステンドグラス作家・宇野澤辰雄の弟子として学んだ後、大阪で独立。旧松本健次郎邸など、鴻池組が施工した複数の工事に関わっている。