技術広報誌ET

技術広報誌ET 2023年発刊号

『Reライニング工法』による覆工コンクリートのリニューアル

511号(2023年10月1日) 技術本部 土木技術部 北野 敬太

はじめに

「Reライニング工法」は、一般車を通行させながら覆工コンクリートを改築(切削・内巻き)する技術です(図-1)。矢板工法で施工された道路トンネルにおいて、老朽化した覆工コンクリートを供用下で補修・補強するため、技術実証を行いました。ここでは、当工法を適用して実施した、技術実証の概要について紹介します。

図-1  Reライニング工法 システム概要

図-1 Reライニング工法 システム概要

技術実証について

①覆工切削技術
切削機は、老朽化した覆工コンクリートを切削・除去します。技術実証では試験用切削機を製作し、コンクリート供試体を用いて切削試験を行いました(写真-1)。試験では、供試体を所定の切削深さ(20cm)で1度に切削し、切削性能や出来形精度などを確認しました。特に、出来形精度については、切削面の凹凸が切削平均深さからの離れが最大4mmと小さく、高精度な切削が可能であることを確認できました。

②移動式プロテクタ
移動式プロテクタは、施工中に内部を通行する一般車両を防護します。技術実証では耐久性能や水・粉じんに対する遮蔽性能などを確認しました。特に、施工に必要な設備は組立ヤードから施工対象トンネル内部に運搬・設置する必要があり、その方法が課題となりました。運搬手段として十分な登坂能力を有し、細かな設置位置の調整が可能な多軸式特殊台車を採用することで、移動式プロテクタなどの設備をスムーズに運搬・設置することができました(写真-2)。

③再生覆工コンクリート
 切削した箇所には、内巻きの覆工コンクリートを新たに構築します。長距離(最大850m)のコンクリート運搬が施工条件となっており、運搬後の品質およびワーカビリティを確保する必要がありました。複数回の配合・配管圧送試験の結果、長距離圧送が可能で品質を満たすコンクリート配合を決定しました。構築試験では、長距離圧送したコンクリートを厚さ20cmの実寸大型枠内に打ち込んで内巻きの覆工コンクリートを構築し、品質を満足していることを確認できました(写真-3)。

写真-1  試験用切削機と切削後の供試体

写真-1 試験用切削機と切削後の供試体

写真-2  多軸式特殊台車による運搬状況

写真-2 多軸式特殊台車による運搬状況

写真-3  打設後の覆工コンクリート全景

写真-3 打設後の覆工コンクリート全景

おわりに

今回の技術実証により、Reライニング工法の施工性や実工事に向けた課題について、様々な知見が得られました。今後は、これらの課題を解決し、当工法を積極的に提案することで、高品質かつ安全なインフラ再生に貢献していきたいと考えます。

511号(2023年10月1日)の記事

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