技術広報誌ET
建物の基礎梁に鉄骨(S)を用いる鉄骨基礎梁工法は、通常の鉄筋コンクリート(RC)の基礎梁に比べ、環境への配慮や施工性において様々なメリットがあります。鴻池組では、この鉄骨基礎梁と杭頭部をつなぐ接合工法「KPC工法」を開発し、多くの構造実験やシミュレーションの結果に基づいて一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明(GBRC性能証明第23-02号)を2023年4月に取得しました。
図-1 建築技術性能証明書
基礎梁をRCからSにすることで、環境や施工面において以下のメリットがあります。
なお、鉄骨基礎梁の耐久性を検証するため、適用を検討している物流施設と類似する複数の建物の1階下ピット空間において温湿度測定および暴露試験を行いました。さらに、技術研究所でピット内の気流解析およびピット内環境を再現した促進劣化試験を実施することで、耐久性に問題がないことを確認しました。
写真-1 構造実験の状況
図-2 鉄骨基礎梁工法のイメージ
KPC工法は杭頭部と鉄骨基礎梁をつなぐ部分にCFT構造を利用した工法で、構造耐力上優れた性能を有するハイブリッド構造です。また、現場での配筋や型枠作業が発生しないことから、省力化にも優れた工法です。施工精度面においては、鉄骨基礎梁建方後に鋼管内部のコンクリートを充填するため、杭施工で一般的に生じる施工誤差を吸収することが可能です。
図-3 KPC工法の概要
今回の性能証明取得によって、上部躯体構造におけるRC、RCSやSの選択だけでなく、基礎梁に対してもRCやSの選択が可能になりました。今後は鉄骨基礎梁工法とKPC工法のメリットを活かし、物流施設などを中心にお客様のニーズに応えた様々な提案を行ってまいります。