阪神高速15号堺線の湊町付近は、地下街や鉄道が入った地下函体上に高速道路の橋梁基礎が設置されています(図-1)。建設当時、地下函体への荷重軽減を目的として、鋼製基礎が採用され、9基が建設されました(図-2)。供用から約半世紀が経ち、周辺環境の変化によって付近の地下水位が上昇し、空洞となっている鋼製基礎内部に地下水が流れ込み、腐食が進行しています(写真-1)。これまで、最小限の施工規模で対策可能なアルミニウム溶射や電気防食等の対策が行われてきたものの、抜本的な解決には至っておらず、さらに腐食が進行するおそれがあります。当工事は、これらの問題を解決するため、阪神高速道路の大規模更新事業の一環として、前述の鋼製基礎全9基を対象に、基礎本体の防食や支承の取り替えなど、維持管理し易く、耐震性の確保が可能な構造への更新を設計・施工にて行うものです。
図-1 湊町付近の複雑な構造物(阪神高速HPより)
図-2 全体位置図(赤色の基礎が鋼製基礎)
写真-1 鋼製基礎内部の腐食状況
現状の鋼製基礎は全体が保護コンクリートで覆われており、中央にピット部を有する構造です(図-3)。更新によりこれらの保護コンクリートは全て撤去し、金属溶射などの腐食対策を実施した後、外周にコンクリートボックスを設置します(図-4)。このコンクリートボックスが遮水壁となり、さらにコンクリートボックスと鋼製基礎との間の空間を点検や補修が可能となる維持管理空間とすることで耐久性や止水性、維持管理性の向上を図ります。また、各鋼製基礎に対して最新基準での耐震性確保を目的とした解析検討を行い、必要に応じて鋼製基礎の耐震補強を行います。
図-3 現状の鋼製基礎(PN-01)
図-4 更新後の鋼製基礎(PN-01)
現在、3基の詳細設計が完了し、工事を進めています。耐震性の確保に加え、維持管理面も考慮した鋼製基礎の更新を行うことで、阪神高速道路の大規模更新事業のスローガンである、「100年先も安心して利用できる高速道路」実現の一助となれば幸いです。