技術広報誌ET

技術広報誌ET 2020年発刊号

環境に配慮したクローズド最終処分場の建設

497号(2020年4月1日) 三浦市一般廃棄物最終処分場 東京本店 工事事務所 島田 政宏 / 環境エンジニアリング本部 河村 洋一

はじめに

神奈川県の三浦市と横須賀市は、共同でごみ処理施設を建設し、お互いの施設を利用する「ごみ処理の広域化」に取り組んでいます。当工事は、その整備事業の1つである一般廃棄物最終処分場を建設する工事で、横須賀市に建設される不燃ごみ等選別施設で発生する不燃性残さを埋め立てる施設となります。最終処分場の埋立容量は48,000㎥で、埋立期間は17年間を想定しています。

写真-1 最終処分場全景

写真-1 最終処分場全景

最終処分場の特徴

建設する処分場は「クローズドシステム」が採用されており、公害防止に配慮した環境にやさしい最終処分場です。処分場を屋根、外壁で覆うことで廃棄物の飛散や臭気の拡散を防ぎ、天候に左右されない埋め立てが可能です。処分場から出る浸出水は、浸出水処理施設(処理能力16m3/日)で処理され、一切施設外に出しません。処理した水は処分場内の散水に利用され、凝集沈殿後の汚泥は脱水処理後に処分場内に埋め立てられます。

写真-2 処分場の内部

写真-2 処分場の内部

工事の特徴

施工場所が狭隘な急傾斜の渓谷地(高低差25m、幅60m)で脆弱な軟岩地盤であることから、処分場の建設にあたり構造物の安定性確保に加え、施工時の導線ならびに施工ヤード確保などに、入念な事前計画が求められました。
処分場縦断図谷底部への工事用道路は、構築時の利用を考慮した線形を確保しながら、脆弱な軟岩斜面の層理に注意して造成を行いました。ICT施工を活用して測量手間を省いて効率的に施工しました(関連記事ET485号)。工事を進めるうえで必要な施工ヤードは、傾斜地に仮桟橋を設置することにより確保しました。本体構造物は、沈下や傾斜地盤による滑動が懸念されるため、地耐力や安定確保するため谷側部に深層混合処改良(RASコラム工法 平均改良深さ8.0m)と厚さ5mのラップルコンクリートを施工して強固な基盤を確保しました。

図-1 施設構造概要図

図-1 施設構造概要図

図-2 処分場縦断図

図-2 処分場縦断図

497号(2020年4月1日)の記事

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