RCS積層工法による施工

AMB船橋DC5

東京本店 工事事務所
阪東 照恭

はじめに

AMB船橋ディストリビューションセンター5はアクセス性に優れた千葉県船橋市の湾岸地域に建設中の5階建てのテナント物流倉庫で、この地域でのAMB倉庫の5棟目になります。
全5フロアが倉庫となっており、1階から3階までは建物内に設けたスロープにより、トラック・トレーラーでの搬出入が可能です(図-1、2)。
本建物は、さまざまな顧客のニーズに合わせ、大型で機能的・効率的な物流倉庫を提供することを目的としており、建設の際にも経済性や工期厳守を求められました。そのため、さまざまな工法を比較検討した結果、コスト・工程・施工性の面からRCS積層工法の採用となりました。

RCS積層工法の概要

RCS積層工法は柱をRC造、梁をS造とした架構形式であり、近年、大スパンを有する大型ショッピングセンターや、柱の軸力が大きい大型物流倉庫等で多く採用されており、当社でも複数物件で施工実績があります。
RC造柱とS造梁の仕口部には塞ぎプレートを柱型状に取り付け、仕口部内のコンクリートを拘束しています。柱・梁の応力は、仕口部内を通した梁部材、柱主筋、塞ぎ板により拘束されたコンクリートの支圧により伝達されます(図-3)。
RCS積層工法のメリットとしては柱をRC造とすることで鉄骨量を軽減でき、また、S造の場合に柱部材に想定されるコラム鉄骨材の納期・スケジュールの問題も解決されます。

サイクル工程

RCS積層工法では、平面工区割りによる「流れ作業」と階方向の「積層」により、「繰り返し作業」とすることで、資材・材料の転用率の向上、一律な作業と することでの作業効率の向上を図ることで、高品質・低コストな施工が可能となります。当工事では平面工区を8工区、1工区あたりの作業サイクルを16日とし、各工区を2日ずれで施工するサイクル工程を計画し進めています(図-4、写真-1、2、3、4、5)。

工事計画

平面工区は図-5のように8工区割りとしています。今回工事では柱コンクリートをホッパーを用いて打設しますが、1日あたり6本の打設とし、その2日分を1工区(柱12本分)としました。
敷地の北面・東面が隣地に接近しているため、建物内部に2本のクローラークレーン走行路を作り(この部分は後施工とします)計4台のクローラークレーンを 配置しています。各々のクレーンは隣り合う2工区を担当します。クレーンの能力は、ホッパーでのコンクリート作業、鉄骨重量から決定しています。
全体の進め方は、サイクル工程の中で「クレーン使用頻度」の高い作業が同じクレーンで重ならないように進めます。サイクル工程中、前半8日間にクレーン作業が集中しますので、隣り合う工区は8日ずつずらすように進めます。今回工事の工区の進め方はC→A→G→E→D→B→H→Fの順に進みます。

おわりに

RCS積層工法は各工種を、いかに「標準作業」とするかが大きなポイントになります。各工種のそれぞれの作業についてさらなる創意工夫を進め、より効率的な施工を目指しています。

工事概要
工事名称 AMB船橋DC5新築工事
工事場所 千葉県船橋市西浦3-6-3
発注 AMB船橋5特定目的会社
設計・監理 (株)NTTファシリティ-ズ
施工 (株)鴻池組
工期 平成18年6月~平成19年4月
構造・規模 1階~4階 RCS造(柱:RC・梁:S)5階 S造
建築面積 10,635.66m2(倉庫)
延床面積 51,914.62m2(倉庫)

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426号(2007年01月01日)