高層建物の免震技術

保有技術の紹介

免震技術の開発

「免震」とは建物下部(免震階)に免震装置を組み込み、建物を柔らかくする建築構法です。大地震時には免震装置が大きくしなやかに変形し、激しい揺れを免れます(図-1)。
当社は1980年代半ばより免震技術の開発に着手し、1989年に自社社宅へ初適用しました。1997年には阪神大震災で被災したマンションを免震住宅として再建する事業に協力し、その後も免震技術の改良と建設に取り組んでいます。

高層建物に対応した免震技術

最近になって目を見張るのが、免震建物の高層化です。地震による被害を抑えたいという意識の高まりから、高層マンション等への採用が進んでいます。
高層建物を免震化した場合、その形状から大地震時、免震装置に引張力が生じることがあります(図-2)。最も一般的な免震装置「天然ゴム系積層ゴム」(写真-1)は、水平方向にしなやかに変形し、大重量を支えることができる優れた免震装置です。反面、引張力には若干の弱みがあることから、大きな引張力が生じる個所には引張力に強い「直動転がり支承」などを用います(写真-2)。このように免震装置を効果的に配置することが重要となります。
また、受風面積が大きい高層免震建物では、風による揺れが居住性に悪影響を及ぼす恐れがあります。風に対する居住性は、KOVIC(当社開発風応答解析プログラム)や風洞実験(写真-3)などによって確認します。

おわりに

高層建物の免震化には、前述のように特有の課題があります。当社では社内にワーキンググループを設置し、免震建物の設計方法や居住性、施工性などについて研究を進め、その成果を実施物件で具現化しています(図-3)。免震建物への関心が高まる中、品質、経済性に優れた高層免震建物を顧客に提供したいと考えています。

(問い合わせ先) 大阪本店 建築設計部 片岡 弘行 TEL.06(6244)3776

本誌掲載記事に関するお問い合わせは、管理本部 広報までお願いします。なお、記事の無断転載はご遠慮ください。

 

426号(2007年01月01日)