自然体感展望台「六甲枝垂(しだ)れ」

大阪本店 工事事務所
遠田 博

施設の概要

昨年7月、兵庫県の六甲山にユニークな展望台がオープンしました。山上からの素晴らしい景色を楽しむだけでなく、季節の移り変わりや天候の変化を体感できる展望台です。施設は六甲ガーデンテラス内にあり、阪神総合レジャー(株)によって運営されています。
設計は、社団法人日本建築家協会のコンペで最優秀に選ばれた若手建築家の三分一(さんぶいち)博志氏で、当社が施工を担当しました。大木の幹のような展 望台の中央部(風室)を、名前のとおり「枝垂れ」をイメージさせる「枝葉」(ヒノキなどから成るフレーム)が覆っています(写真-1、2)。
この展望台では、次の6つのゾーンでさまざまな体感や自然現象が観測できます(図-1、2)。

  1. 木洩れ日の展望所(スロープ)…(1)
  2. 海の展望所(テラス)…(2)
  3. 山道の展望所(山道)・水面の展望所(氷棚)…(3)
  4. 陽だまりの展望所(陽室)…(4)
  5. 山の展望所(風穴)…(5)
  6. 風と空の展望所(風室)…(6)

施工を振り返って

関西に位置するとはいえ六甲山上の工事場所は標高900m近くあり、市街地とはまったく異なる気象でした。冬季施工を避けるため3月より躯体工事に着手しましたが、一面が雪景色となる降雪、濃霧や強風など山上の天気は変わりやすく、厳しいものでした。また、非常に精度の求められる建物であるため、施工図や施工計画書などについて設計事務所と密な打合せを行いました。
厳しい工期ではありましたが、建築主のご要望の期日までに完成でき、六甲山頂の新たなシンボルとなる建物の建設にかかわれたことを光栄に思います。


<参考・引用資料> 六甲枝垂れガイドブック(阪神総合レジャー(株))

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460号(2011年01月01日)