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ドリルNAVI®を使用した「トンネル余掘り測定システム」の開発

-コンピュータジャンボで取得したせん孔データを活用したトンネル余掘り測定技術-

2020年07月20日 リリース

株式会社鴻池組(大阪市、社長 蔦田守弘)、古河ロックドリル株式会社(東京都、社長 阿部裕之)及びマック株式会社(千葉県、社長 宮原宏史)は、ドリルNAVI®の新機能として、取得したせん孔データから、吹付け面や地山掘削面の3次元座標を特定して余掘り量を測定する「トンネル余掘り測定システム」を開発しました。この新機能の実証実験を鴻池組が施工するトンネル現場において実施し、山岳トンネル工事における施工サイクル内で取得される発破孔やロックボルト孔のせん孔データから、吹付け面や地山掘削面の出来形、さらに吹付け厚や余掘り量を精度20mmで安全に測定できることを確認しました。

※統合せん孔支援システム「ドリルNAVI®」についてはこちら(鴻池組HP)  https://www.konoike.co.jp/solution/detail/002327.html

本システムの概要

山岳トンネル工事における余掘り低減は、施工サイクルの向上や、吹付けや覆工コンクリートなどの材料コストの低減を図る上で重要です。余掘りの測定にあたっては、発破直後の素掘り面の近傍にレーザースキャナなどの測定器を設置して15分程度かけて計測するため、施工サイクルの遅延に加え、計測中に地山の安定性が低下して切羽が崩壊するなどの危険性を伴います。
今回、開発した「トンネル余掘り測定システム」は、コンピュータジャンボであるドリルNAVI®を使用して山岳トンネル工事における施工サイクル内の通常作業である発破孔やロックボルト孔せん孔時のせん孔データ(せん孔エネルギー、せん孔速度、回転圧、フィード圧等)を5Hzの詳細な頻度で取得することで、吹付け面や地山掘削面といった境界面を3次元座標で正確に特定します(図ー1)。これら境界面の特定にあたっては、施工直後から材齢1日程度の吹付けコンクリート(圧縮強度5N/mm2程度)と硬質な地山(圧縮強度50~100N/mm2以上)との強度の違いに着目し、せん孔データの変化量や変化率から判断します(図ー2)。これにより吹付け面と地山掘削面の出来形が把握でき、両者の差から吹付け厚を、設計掘削面と地山掘削面との差から余掘り量を算定するものです。さらに切羽付近に設けた基準点に、各削岩機のビット先端を押し当てて3次元座標を取得し、削岩機が持っている誤差を現地で簡易に補正することで、吹付け面や地山掘削面の出来形、さらに吹付け厚や余掘り量を精度20mmで安全に測定できることを確認しました(図ー3、図ー4)。

本システムの特徴

本システムでは、現行の余掘り測定方法での問題点を、次のように解決しています。
① 通常の施工サイクル内で余掘りを測定できるため、サイクルタイムへの影響はありません。
② 余掘り測定時に掘削面を素掘りの状態に保つ必要がないため、地山の不安定化はありません。
③ 通常の施工サイクルで自動的にデータを取得できるため、余掘り測定のための特段の安全対策
  の必要がありません。
また、実証実験で実施した削岩機の誤差の補正方法は簡便であるため、トンネル全線にわたる余掘り量や吹付け厚、内空断面(吹付け面)の出来形管理だけでなく日常のせん孔管理にも有効です。これらの補正を定期的に行うことで、ドリルNAVI®のせん孔支援の精度と効果をさらに向上させることができます。

今後、「トンネル余掘り測定システム」は、吹付け面や地山掘削面の自動抽出、出来形図の自動出力、最適な発破パターンの自動作成などの機能を加えて高度化を図り、商品化を目指していきます。

以 上

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