被災地での社会貢献(し尿汚泥の脱臭剤BP2)

土木事業本部 環境エンジニアリング部
河村洋一

BP2とは、ビタミンB群とアルギン酸オリゴマーを主成分とする無害・無味・無臭のパウダーであり、日本バイオマス研究所が発見した、新種微細藻類「バイノス」を増殖して製造された汚泥削減剤です。このバイノスには、し尿を無害化する微生物を活性化するビタミンB類やアルギン酸オリゴマーなどを豊富に含む特徴があります。
BP2については、これまで、主に製紙会社が紙を作る過程で出る汚泥を減らす目的で使う汚泥減少剤として使用されていました。当社はそのBP2の作用のうち、脱臭と制菌作用に着目し、日本バイオマス研究所と簡易な「し尿処理法」を共同開発しました。
バイノスに含まれるビタミンB類は悪臭源を分解する有用な微生物を活性化することで脱臭効果を発現させ、アルギン酸オリゴマーは有機物の腐敗を抑制する効果があることから、臭気が酷くなることを防止します。また、BP2は病原性菌の抗菌効果を持ち、結核の病原菌となることもあるコリネバクテリウムへの効果を調べるプレート試験では、BP2を添加したプレートでの増殖を完全に抑制していることを確認しました(写真-1)。
さらに、フィールド試験においては、仮設トイレのタンク(100リットル)に200~400グラムを入れたところ、3日目から脱臭効果が確認されアンモニアの濃度も60~90%低下することを確認しました(図-1)。
これらの試験結果をふまえ、東日本大震災の被災地の避難所などの衛生状況改善に役立てていただけるよう、在庫1トンを無償提供することを決定し、宮城県塩釜市施設および茨城県神栖市内施設に提供しました。

本誌掲載記事に関するお問い合わせは、経営管理本部 経営企画部CSR・広報課までお願いします。なお、記事の無断転載はご遠慮ください。

 

463号(2011年10月01日)