技術とソリューション

設計用入力地震動の作成システム

免震建物や超高層建物の構造設計に必要な設計用入力地震動の作成技術

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設計用入力地震動

免震建物や高層建物の構造設計における地震時の時刻歴応答解析には入力地震動が必要であり、El Centro波やTaft波など、特定の観測記録が使われてきました。しかし、これらの地震波はある地震時に、ある地盤条件のもとで観測されたものであり、設計用としてふさわしい地震波とは言い難いものです。 現在、観測記録も増え、解析技術も進歩し、多くの入力地震波を作成・使用することができます。入力地震動を作成する場合は、以下の2つの方法があります。また、建設地点近傍において、国や地方自治体等により公表されている観測記録や模擬地震動などがある場合は、それらも参考にします。

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告示のスペクトルを用いる方法

2000年6月の建設省告示における加速度応答スペクトルをもとに、工学的基盤(S波速度400m/s程度以上の層)での時刻歴波形を作成することができます。同じ応答スペクトルでも、位相や包絡関数の決め方により多くの時刻歴波形を作成することができますが、断層の破壊過程や深い地下構造などの影響を十分に考慮しているわけではありません。

断層や地盤構造を考慮した方法

歴史的な地震資料や活断層資料などをもとに、敷地周辺の地震活動度や活断層の適切な評価を行い、当該敷地の基盤位置において予想される地震動を想定することができます。断層を小要素に分割して、断層の破壊方向や破壊速度、敷地までの伝播経路などを考慮して重ね合わせることで地震動を決定します。断層の位置や深さ、地震規模、断層の破壊方向や破壊速度などの断層パラメーターや深い地下構造など地震動の決定に必要な条件は、国や地方自治体で行われている調査結果などをもとに決定します。

表層地盤の影響

上記の方法で得られる基盤での地震動をもとに、基盤から上の表層地盤の影響を考慮した解析により地表での地震動を作成します。地盤を平行成層と考え、地盤の歪み依存性を考慮して等価線形解析を行います。なお、地盤の密度やS波速度などの地盤情報は地盤調査をもとに決定します。また、液状化なども適切に評価する必要があります。

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