MR技術を活用したトンネル維持管理システム(トンネルMR)に新機能を追加
-ウェアラブル端末を使用したデータ入力で業務効率化-

2019年06月04日  リリース[トンネル・シールド]

株式会社鴻池組(大阪市、社長 蔦田守弘)と株式会社インフォマティクス(川崎市、社長 三原正一)は、インフォマティクス社製のMR作成ソフトGyroEye Holoをカスタマイズした「MR技術を活用したトンネル維持管理システム(トンネルMR)」に新機能として、ウェアラブル端末を装着しながら現地でひび割れや不具合の進展状況を直接作図し記録できる機能を開発しました。この新機能の実証実験を国道371号 仮称新紀見トンネル工事において実施し、これらの要素技術により、維持更新データの入力が容易になるなど業務効率化への有効性を確認しました。

■新機能の概要
新機能は使用するウェアラブル端末であるMicrosoft HoloLensのAir TapとTap and Holdの機能を使用します。Air TapとTap and Holdは端末装着者のハンドジェスチャーで端末を操作する機能です。
まず、トンネルMRの従来機能を使用し、トンネルの維持管理データを小型コンピューターに登録しウェアラブル端末に内蔵された各種センサーやトンネル坑内に設置した原点(ARマーカーなど)を用いて構造物に三次元データを実寸大で正確に投射します。主な新機能は以下の通りです。
①ひび割れ展開図、地質展開図、湧水展開図、支保パターン図等の三次元データを選択しレイヤー表示
②ひび割れ朱書き機能により、ひび割れの進展に合わせてひび割れをトレースし作図
③計測機能により、ひび割れや不具合箇所の長さや大きさを計測
④記号貼付け機能により、現地の湧水箇所や剥離剥落箇所などに記号を付記
⑤コメント貼付け機能により、現地のひび割れや不具合箇所に音声や文字を付記
これらの技術により、点検調査時に構造物のひび割れや漏水を発見した場合に、前回調査時の三次元データと見比べてその進展状況を確認したり、近傍の二次元データや三次元データなどの施工データを呼び出したりすることで、現地において容易に不具合の発生原因を推定することを確認できました。さらに、現地で発見した構造物のひび割れや漏水に対して、作図機能を使用して維持管理データを更新することで、高精度なひび割れ展開図や点検調書をスピーディーに作成できることを確認できました。

■今後の展望
今回、現場実証試験を行い、3次元のひび割れや地質展開図が高い精度で覆工面に投射されること、現地でひび割れや不具合などを正確に作図できることを確認できました。トンネルMRの実用化にあたっては、ソフト面では、今回開発した作図機能の項目選定や機能拡張に加えて、AI導入によるひび割れの自動抽出技術の導入により、さらなる業務の効率化を図ってまいります。またハード面では、屋外作業の多い建設業に合わせて気温や湿度への対応や防水性、防塵性の向上、バッテリー駆動時間の延長を図っていきます。
今後、トンネルを含むインフラの点検作業や建設工事における業務効率化に寄与できるよう、さらにMR技術の活用を図り、開発を進めていきたいと考えています。

≪3次元展開図≫
レイヤー毎に表示。複数のレイヤーを重ね合て表示させることも可能.

≪作図機能≫※新機能

以 上