天井落下防止工法『鴻池CSFP工法(帯塗くん)』 
建築技術性能証明を取得

2017年12月18日  リリース[免震・制震・耐震]

株式会社鴻池組(大阪市、社長 蔦田守弘)は、繊維入り強化塗料の帯状塗膜による補強を特徴とする天井落下防止工法「鴻池CSFP工法(愛称:帯塗くん)」(※1)の建築技術性能証明を、一般財団法人日本建築総合試験所から取得しました(2017.11.16付)。既存の特定天井(※2)などの落下防止を目的とした工法で、鴻池ビルテクノ株式会社(江東区、社長 大林愼二)、株式会社桐井製作所(千代田区、社長 桐井隆)、および日本樹脂施工協同組合(台東区、理事長 渡部秀晴)と設立したCSFP工法協会として申請し、この度性能証明を取得したものです。
※1 CSFP:Ceiling Support system by Fiber reinforced coating Paint
※2 特定天井:6m超の高さにある、面積200㎡超、質量2㎏/㎡超の吊り天井で人が日常利用する場所に設置されているもの

2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では、多くの吊り天井が落下し、かつてない規模で人的・物的被害が発生しました。これらの被害を防ぎ、企業活動等の中断を極力避けるため、既存建物の天井落下対策が求められていました。当協会では、これらのニーズに応えるべく天井落下防止工法の開発・改良を進め、天井改修工事に求められる「短工期」および「経済性」に加え、改修後の「意匠性」確保を達成していましたが、今回の性能証明取得により、お客様に対してより高い「安心・信頼」をご提供できるものと考えています。

‘帯塗くん’は、改修対象天井によって、以下の2つのタイプがあります。
<帯塗・ワイヤタイプ>
[適用対象]学校、体育館、工場などの在来工法による一般天井(特定天井を含む)
[技術概要]天井板ジョイント部に繊維入り強化塗料を跨るように帯状に塗布し、それと直交する方向で天井面下に落下防止用ワイヤを敷設するフェイルセーフ型の工法

<帯塗・ワイヤレスタイプ>
[適用対象]オフィスビルや公共施設の事務室などのライン型システム天井
[技術概要]金属製のTバーや廻縁と天井板との取り合い部に、繊維入り強化塗料を跨るように帯状に塗布し天井面を強化する工法

2つのタイプに共通する特長として、天井の解体を伴わず天井面下からほとんどの作業が行え、短工期で騒音・振動が少ないことから、建物を使いながらの改修工事が可能となります。
開発に当たっては、各種の材料試験や要素試験を行うとともに、補強効果を検証するために実際の天井を模したユニットによる静的載荷試験や振動台加振実験を行いました。今年7月に鴻池組技術研究所(つくば市)で実施した「帯塗・ワイヤタイプ」に対する振動台実験では、東日本大震災時に観測された仙台波を上回る加振に対して、帯状塗膜および落下防止用ワイヤが有効に機能し、天井面構成材が床面に落下しないことを確認しています。
今後は、CSFP工法協会として天井改修を検討しているお客様に対し、当工法を有効に活用した改修提案を行っていく予定です。