異形断面に対応した新型水中掘削機の開発
-自動化オープンケーソン工法(SOCS)-

2017年04月07日  リリース[建設機械]

 鴻池組(本社大阪府大阪市 社長:蔦田守弘)は、大深度硬質地盤掘削技術である自動化オープンケーソン工法(総合技術開発プロジェクトで開発)において使用する水中掘削機を改良し、異形断面に対応した新型水中掘削機を開発した。
 自動化オープンケーソン工法はケーソン内壁に取り付けた走行レール上を移動しながらケーソン刃先直下地盤の水中掘削を可能にした工法である。ICTによる無人化施工を実現しており、安全・確実・高精度で経済的に硬質地盤へのオープンケーソンの沈設を可能にした。この工法によりオープンケーソンの適用範囲(平面規模、深度、対象地盤)が飛躍的に拡大され、現在まで最大外径35m、最大深度73.5mの実績をはじめ、深度50mクラスのオープンケーソンに採用されており、本工法の有効性が確認されている。
 今回、適用平面形状の拡大および作業の効率化を図る目的で、次の点で改良を行った。ハード面では、一つ目は、従来ケーソン平面形状は円形のみの対応(水中掘削機の水平走行軌跡が単円のみ)であったものを水中掘削機の走行レール把持機構を可動タイプとし、任意の走行レール曲率への対応を可能にした。これにより、ケーソン平面が矩形、楕円形、小判形といった異形断面への適用が可能となり、用地の制約や利用目的のニーズに柔軟に対応することができるようになった。二つ目は、機械の耐水性能をアップし、従来水深100m(耐水圧1.0MPa)までの対応であったものを、120m(1.2MPa)まで適用深度を大きくした。三つ目は、適用躯体壁厚を3.5mまで拡大した点である。従来2.5mまでの対応であったものを、ブーム・アーム部材を長くしても掘削効率が低下しないように掘削トルクを向上(従来機の2割アップ)させ、これを実現した。これらにより、異形断面を含め更なる大深度地下構造物築造への適用を可能とした。一方、ソフト面ではICT技術を駆使し掘削面の3次元表示を図り、掘削地盤の可視化を図ることで作業の効率化と作業員の負担を軽減した。
今後、同機材センターで実地盤を掘削する最終作動確認を行い、実工事に備える。今回、水中掘削機は日立造船(株)が製作した。
 今後の展開として、更なる大深度立坑(シールド立坑、雨水貯留施設、橋梁基礎、最終処分場等)への適用により、社会インフラへの貢献を目指す。