VERJON(異種強度梁)工法の適用範囲を拡大し、
建築技術性能証明を再取得

2014年10月15日  リリース[土木構造・建築構造]

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 蔦田守弘)が参画する異種強度梁研究会は、このほど、施工品質に優れ、コストダウンを可能とするVERJON(None VERtical placing JOint)工法の適用範囲を拡大し、建築技術性能証明(GBRC性能証明第10-17号改)を一般財団法人日本建築総合試験所より再取得しました。なお、本工法は、2010年10月に性能証明を取得し、研究会全体で現在までに6件の適用実績があります。

※異種強度梁研究会(錢高組(幹事)、安藤ハザマ、鴻池組、大末建設、大日本土木、NIPPO、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、三井住友建設)

● VERJON工法の概要
VERJON工法は、梁の上部にスラブと同一のコンクリートを使用した場合の梁の構造性能に関する設計法を確立したもので、施工品質に配慮した工法です。
一般的に鉄筋コンクリート造建物では、梁に必要とされるコンクリート強度はスラブで必要なコンクリート強度に比べて高いことが多く、梁とスラブの境界部分に鉛直に打継部を設けてそれぞれのコンクリートを使用するか、施工性を優先させてスラブにも梁と同一の高強度コンクリートを使用する必要があります。打継部を設ける場合は、打継部の型枠の設置やコンクリート打設順序等、施工が煩雑になる(図参照)とともに、この部分にひび割れが発生することが懸念されます。一方、スラブに梁と同一の強度のコンクリートを使用した場合は、材料費のアップに繋がるとともに、セメント量が多く粘性が高くなるため、表面の均し仕上げが困難になったり、収縮ひび割れが発生したりすることが懸念されます。
本工法によれば、鉛直打継部がなくなることでスラブの一体性・連続性が保たれ、品質や施工性が向上します。また、一体性確保のためのスラブの高強度コンクリートも不要となり、スラブ表面のひび割れ懸念も抑えることができます。本工法は、品質向上とともに、経済性、施工性に優れ、CO2発生の大きなセメント量を軽減できるため、環境面にも優れています。

● 本工法の改良点
本工法の適用実績から、これまで対象としていなかった、スパンの短い梁やスラブのない梁、段差付きスラブが取り付いた梁など、ほとんどすべての部位への適用が可能となり、品質・施工性がさらに向上しました。

● 今後の展開
今後は、集合住宅をはじめ中高層以上の高さの鉄筋コンクリート造建物を対象にして、本工法のさらなる有効活用を目指してまいります。

 

【VERJON工法の概要】
 本工法は、主にハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁への適用を想定しており、梁上部のコンクリート強度を下部よりも低くし、下部コンクリートを打設した後、梁上部とスラブのコンクリートを一体に打設し、梁上下部で異種強度のコンクリートを打ち分けた鉄筋コンクリート梁を構築するものです。

  

【実験風景】
梁下部よりも上部に低い強度のコンクリートを用い、上下コンクリートを打ち分けても、所定の打ち継ぎ処理ならびに配筋を施すことによって、設計で期待した終局耐力および変形性能などの構造性能が確保されました。