「国内初のPCB廃棄物現地無害化処理工事が完了」
-国土交通省発注 鶴見川多目的遊水地内のPCB廃棄物現地無害化処理-
2013年12月03日 リリース[環境関連技術]
株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 蔦田守弘)は、このたび国土交通省関東地方整備局発注の「鶴見川遊水地土壌改良工事」において、横浜市港北区の鶴見川多目的遊水地内にPCB廃棄物中間処理施設を建設し、現地保管されていたPCB廃棄物(一時保管土A)の国内初となる現地無害化処理を完了しました。
● 鶴見川遊水地土壌改良工事の概要
鶴見川多目的遊水地のうち鶴見川及び鳥山川合流部付近には、鶴見川多目的遊水地の排水門建設工事及び横浜市橋梁工事において確認された、ポリ塩化ビフェニル等の有害物質(以下、「PCB等」という。)及び異物(木材、プラスチック、がれき類等)が混在した「異物混入土」が一時保管されていました。
現地は、JR新横浜駅より約500mの場所で、周辺には日産スタジアムや新横浜スポーツ公園、横浜労災病院、高層オフィスビルや高層マンションなどがある市街地です。
「鶴見川遊水地土壌改良工事」は、これら異物混入土のうち、PCB等の有害物質濃度が比較的高いPCB廃棄物(一時保管土A)を、鶴見川多目的遊水地内に新たに設置したPCB廃棄物中間処理施設で、国土交通省の「自ら処理」として無害化処理を行ったものです。処理完了後はそれらの設備を撤去し原状回復しました。
● PCB廃棄物の無害化処理技術
PCB廃棄物の無害化処理は、1,100℃以上での高温焼却あるいは国による廃棄物処理法に基づくPCB処理技術の技術評価を受けた化学分解法で行う必要があります。
本工事では、株式会社鴻池組が株式会社東芝および株式会社テルムと共同開発し、PCB処理技術評価を取得済みのジオスチームTM法(還元熱化学分解法)を用いて行いました。
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写真-1 ジオスチームTM処理施設設置状況(テント設置前) |
● 建屋内施工による周辺環境への配慮
PCB廃棄物の現地無害化処理に当たり、異物混入土を扱うすべての作業をテント建屋内で実施することで、PCB等の有害物の漏えいを防止するとともに、騒音も抑制し、作業中の周辺環境への影響を最小限に抑えました。
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写真-2 PCB廃棄物無害化処理施設の全景(上流側より) |
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写真-3 PCB廃棄物無害化処理施設の全景(下流側より) |
● 処理実績
工 期:平成21年2月28日~平成25年10月31日
(実処理:平成24年2月~平成25年 6月)
処理量:5,828m3(9,248t)
処理前PCB濃度:~30mg/kg 処理後PCB濃度:≦0.1mg/kg
処理前ダイオキシン類濃度:~2,300pg-TEQ/g 処理後ダイオキシン類濃度:≦7.2pg-TEQ/g
注)pg 10-12グラムを示す
TEQ 多数の同族体の混合物として存在するダイオキシン類の毒性を、最も毒性の高い2,3,7,8-TeCDDの量に換算(毒性等量)したことを示す略号