CO2削減量算定システムを開発 -施工計画から工事実施までを一括して管理-

2012年12月21日  リリース[環境関連技術]

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 蔦田守弘)は,施工計画から工事実施までを一括して管理するCO2削減量算定システムを開発しました。鴻池組では、国土交通省が進める中期的地球温暖化対策に対して、工事ごとにCO2の削減量を定め、低燃費・低炭素型建設機械、低炭素エネルギーおよび新工法の採用などにより建設工事におけるCO2削減を推進しています。
本システムの活用により、施工時に工事進捗状況に合わせた推移を把握・管理するとともに、必要に応じてCO2削減対策を見直すことで、工事ごとに定めた削減目標を確実に達成していきます。

開発の背景 

CO2削減量の算定にあたっては、これまでは、各工事ごとに削減目標を定め、低燃費・低炭素型建設機械、低炭素エネルギーおよび新工法の採用による個別の削減量を積算することにより、施工時のCO2総削減量を必要な年度ごと(1年ごと)に算出していました。しかし、実際の建設工事では、月々の施工量の変化によりCO2排出量が変動し、工事着工前に目標CO2削減量を設定しても、工事が完了するまでは総CO2削減量が確定しないため、工事完了時のCO2削減量の予測や目標達成に向けた計画変更への対応は困難でした。

そこで,鴻池組では、工事ごとに定めた削減目標を確実に達成するために、月ごとの工事施工量に応じてCO2削減量の増減を管理でき、施工時点で将来の総CO2削減量を予測することで計画変更による目標達成を可能とする、CO2削減量算定システムの開発に取り組んできました。

 システムの概要 

 工事積算システムで入力した工事データから、使用される建設機械などのCO2排出量を算出し、使用する機械、燃料、工法などを変更することでCO2削減量および削減率を自動的に算定します。
また、月別の実施工事量、燃料の使用数量を入力することで、月ごとのCO2削減量および削減率を推移表、推移グラフで表示し、記録します。 

 システムの主な特長は以下のとおりです。
①既製の工事積算システムの工事データが利用でき、標準データの入力の手間が軽減される。
②シミュレーション的に、使用機械を変更して削減量を確認することが可能で、工事データへも反映することができる。
③月別実績(予定・実績)を入力することにより、グラフ化が可能。また、CO2排出量・削減率の推移の把握、および将来予測ができるため、施工時の管理や対策の変更により総CO2の削減目標が確実に達成できる。
④施工計画書用の「標準」、「提案」については、「省エネ運転マニュアル」および「建設施工における地球温暖化対策の手引き」から引用することもでき、自由な編集が可能である。
⑤各種CO2削減に関する帳票について、エクセル出力に対応できるため、データの編集や加工が可能である。
⑥年度管理として、CO2削減を実施した工事一覧表の作成ができ、会社全体としてのCO2削減の取り組みについて把握できる。

システム導入効果と今後の展開

本システムにより、建設工事のCO2削減計画において、既製の工事積算システムの工事データを利用でき、CO2削減のための対策項目のデータを各種マニュアルから引用することにより、標準データや対策工の入力の手間を大幅に削減することが可能となりました。
また、施工時に工事全体のCO2削減率目標に対して工事進捗状況に合わせた推移を把握・管理することができます。さらに、将来予測を行い、対策の妥当性の検証や計画変更を行うことにより、CO2削減対策を見直し、確実に目標達成を図ることができます。
鴻池組では、今後、実際の建設工事へ本システムの適用を図り、会社全体としてのCO2削減への取り組みを推進することにより、社会への貢献を果たしていきます。