「多賀城市災害等廃棄物の中間処理完了」-災害廃棄物・津波堆積物のリサイクル率80%以上を達成-

2012年12月13日  リリース[環境関連技術]

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 蔦田守弘)は、このたび多賀城市の東日本大震災に係る災害等廃棄物の中間処理を宮城県下の市町村では最も早く完了しました。
災害等廃棄物の中間処理は本年1月下旬に開始し、11月末の完了までの約10カ月間で約13.8万トンを処理しました。リサイクル率は80%となり、達成目標値である70%を大きく上回りました。
なお、中間処理した廃棄物の保管、焼却施設等への搬出は今後も継続して行います。

多賀城市東日本大震災に係る災害等廃棄物中間処理業務 

仙台市の北東に位置する多賀城市は、東日本大震災の津波により市の約1/3が海水に浸かるなど多大な被害に見舞われました。震災により発生した廃棄物は市内の4カ所の1次仮置き場に集積されましたが、これらの多くは市街地にあったため、周辺環境の悪化が懸念され早期の撤去が求められました。このような背景から、多賀城市は宮城県で最初に災害等廃棄物の中間処理業務をプロポーザル方式で公告し、そこで「早期撤去」と「リサイクル率の向上」を主眼とする鴻池組の提案が採用され、災害等廃棄物の中間処理業務を担うことになりました。 

業務概要 

務内容は①災害等廃棄物の1次仮置き場からの運搬、②中間処理・保管、③処理物の適正処分などで、処理量は約14万トンと推定されました。

廃木材のリサイクル 

廃木材の多くは津波により海水に浸かり塩素分濃度が高くなっていたため、リサイクル施設で受入れることはできませんでした。そこで、トロンメル式の木材洗浄機を新たに開発し、木材表面に付着している土砂や塩分を洗い流すことにしました。これにより、福島県のバイオスマス施設で受入可能となり、重量比で廃木材の約85%がボイラー燃料として再利用されました。 

土のリサイクル 

災害廃棄物や津波堆積物は廃棄物を分別すれば、復興資材や土砂としてリサイクルすることが可能となります。しかし、海水に浸かり高含水となった廃棄物などを高精度に分別することは困難です。そこで当社は、被災現場で適用できる①無発熱、②低粉じん、③中性域 の高分子系改質剤を新たに開発し、これを前処理に使用することで、高精度の分別を可能にしました。これにより災害廃棄物からは、復興資材を重量比で約25%、津波堆積物からは土砂を約85%回収することができました。

リサイクル率 

災害廃棄物と津波堆積物約13.8万トンの中間処理前の品目別重量比と、中間処理後の品目別重量比は下表に示す通りです。木材チップ(バイオマス施設でリサイクル)、RC砕石(砕石としてリサイクル)、復興資材・土砂等(盛土材としてリサイクル予定)、金属類(有価処分)等のリサイクルされた資源物の重量比は80%となりました。一方、可燃物(焼却処分)、不燃物(管理型埋立処分)等のリサイクルできなかった廃棄物の重量比は20%となりました。 

 

可燃物の減容化(圧縮梱包) 

可燃物は県が設置する焼却施設において受入が開始されるまでの期間(6カ月程度)は保管する必要がありました。この保管期間における①飛散防止、②臭気低減、③省スペース化などを目的にラップ方式の圧縮梱包を採用しました。これにより、保管容積を1/3~1/2に減容化するとともに、腐敗に伴う臭気の発生を防止できました。