高分子系改質剤の開発と災害廃棄物等分別への適用
-災害廃棄物・津波堆積物の改質による分別精度の向上-

2012年03月27日  リリース[環境関連技術]

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 蔦田守弘)、日立建機株式会社(本社 東京都文京区、代表取締役 木川理二郎)、太洋マシナリー株式会社(本社 大阪市、代表取締役 渡邉敬文)、およびテクニカ合同株式会社(本社 神戸市、代表取締役 寺尾好太)の4社は、このたび災害廃棄物・津波堆積物の分別精度の向上を目的として、アクリル酸を主成分とした高分子系改質剤(特願第2011-114200号)を開発し、宮城県多賀城市の災害等廃棄物の中間処理現場に適用しました。
テクニカ合同は高分子系改質剤(商品名 クリーンウォーター)を製造し、ショーレジン株式会社(本社 大阪市、代表取締役 山本美次)が販売を行います。

◆高分子系改質剤による改質の特長
① 被災地の仮置き場では自然発火による火災が各地で発生していますが、改質を行っても発熱はおこりません。
② 添加量は1m3当たり1~2kgと少量であるため、混合攪拌や分別時の粉じんの発生が比較的少なくてすみます。
③ 改質後のpHは中性です。
④ 改質後は即時に分別可能で、養生時間は不要です。

◆多賀城市災害等廃棄物中間処理現場での適用状況
① 災害廃棄物は最終的に振動スクリーンの網目10mmで分別し、廃棄物の混入が目立たない10mm以下を土砂性状の「復興資材」として回収しています。高分子系改質剤の添加により、含水比40%程度の災害廃棄物からの復興資材の回収率は、無添加の場合の20%から25%へと向上します。
② 津波堆積物は廃棄物の混入が少ないため、目開き20mmの櫛歯状のスクリーンで分別し、20mm以下を「土砂」として回収しています。高分子系改質剤の添加により、含水比30%程度の津波堆積物からの土砂の回収率は、無添加の場合の50%から85%へと向上します。
③ 高分子系改質剤による改質物を分別した10mm(災害廃棄物)と20mm(津波堆積物)のスクリーンの目詰まりは少なく、晴天時は1回/日程度の清掃で分別精度の低下なく稼働しています。

 

 ◆おわりに
多賀城市における災害廃棄物等の中間処理は宮城県(仙台市は除く)では先駆けです。そのため、当現場の中間処理場で高分子系改質剤を用いて災害廃棄物・津波堆積物を分別しやすい性状に改質していること、改質により災害廃棄物から復興資材が重量比で25%程度、津波堆積物から土砂が85%程度回収可能となっていることを、被災地で災害廃棄物処理に携わる皆さんに知っていただき、リサイクル率の向上と焼却残渣の減量化に寄与できればと考えています。