「温度制御噴霧式覆工コンクリート湿潤養生工法(K-tics)」を改良し、大幅にひび割れ発生を抑制

2011年05月25日  リリース[コンクリート]

株式会社 鴻池組

株式会社鴻池組(本社 大阪市、社長 蔦田守弘)は、保有技術である「温度制御噴霧式覆工コンクリート湿潤養生工(K-tics)」(特許出願中)を改良し、影野トンネル北工事(国土交通省四国地方整備局発注)に適用した結果、ひび割れの発生が大幅に抑制されたことを確認した。

本養生工法は、覆工セントル後方に3スパン相当の移動式養生台車を連結し、コンクリートを一定期間(標準で7日間)、湿潤状態で養生できるように工夫した工法である。養生台車には遮水シートおよび端部締め切り用の空気充填膜が取り付けてあり、コンクリートとの間に30~60cm程度の密閉された養生空間を確保することができる。養生空間に粒形45~60μm程度の霧を専用ノズルより噴霧し、湿度90%以上の湿潤状態をつくることにより水和反応を促し、コンクリートを緻密化できる。また、温度感知センサーと噴霧水の温度制御システムにより養生空間の温度を制御し、最適な養生状態を保持することができる。

本養生工法は、噴霧水を加温制御することにより、現場で冷たい沢水を噴霧に利用する際に発生する恐れのある温度ひび割れの抑制や、冬期の強度発現不足が原因とされるひび割れの抑制を主目的としていた。

今回の改良では、主に夏場に打設した覆工コンクリートに見られる、クラウン部の縦断方向のひび割れやインバート区間における側壁部の鉛直方向ひび割れを抑制するために、5℃~40℃までの水を噴霧することが可能な冷温水供給装置を搭載し、かつ噴霧ノズルの数を1.25倍に増加させ温度制御機能の強化を図った。これにより、コンクリート養生空間の加温から冷却まで幅の広い温度制御が可能となり、コンクリート養生空間を事前の温度応力解析結果をもとに算出した最適な設定温度に制御することが可能となった。

この改良により、1年を通じて養生温度を適切に制御することができ、覆工コンクリートのさらなる品質向上が期待できる。

改良した本養生工法を影野トンネル北工事に適用し、剥落などの原因に繋がる恐れのあるクラウン部のひび割れに関し、弊社施工の近隣トンネル(本養生工法未適用)と比較した。両トンネルには、支保パターンや具体的な施工状況について違いはあるものの、本工事では、その発生が1/4と大幅に減少するという結果を得ることができた。

これにより、改良した覆工養生工法によって、湿潤養生に加えて、温度ひび割れの発生が抑制されることを確認することができた。(株)鴻池組としては、今後の受注現場に適用を図り、高品質で耐久性の高いトンネル覆工コンクリートの構築に努めていく。

以 上