「CFT造およびCFT-R造の設計・施工法」の一般評定取得

2008年10月20日  リリース[土木構造・建築構造]

株式会社 鴻池組

株式会社鴻池組(本社 大阪市、社長 玉井啓悦、以下「鴻池組」)は、住友金属工業株式会社(本社 大阪市、社長 友野宏、以下「住友金属工業」)と共同して「CFT造およびCFT-R造の設計・施工法」について、2008年9月に株式会社都市居住評価センターの一般評定を取得しました。

鴻池組と住友金属工業は、1986年より他社に先駆けてコンクリート充填鋼管(CFT)造に関する開発を行い、適用実績を積み重ねています。また、1997年よりCFT柱内に鉄筋を挿入したCFT-R造の共同開発に着手し、CFT造で培ってきた技術の高度化を図ってきました。今回の一般評定取得により適用範囲の拡大を図るとともに、従来に比べより耐震性能および耐火性能が向上し、かつ経済的な設計が可能になります。

今後、実際の建物に対して本構造を積極的に採用し、実績を積み重ねることでさらなる高度化を目指します。また、CFT造に関する豊富な実績や開発済みの合理的な耐火設計法(耐火被覆の軽減)と合わせ、総合技術としての優位性を発揮していく予定です。

今般取得した一般評定の独自性は、以下の3点です。これらは、これまで実施した数多くの実証実験や数値解析によって構造安全性が裏付けられています。

1.CFT-R柱の曲げ耐力・変形性能評価

CFT-R柱の曲げ耐力・変形性能は、鋼管+主筋+拘束されたコンクリートで評価している。主筋による寄与分を適切に評価・累加することによって、合理的かつ経済的な設計を可能にしている。例えば、鉄筋を挿入することで、一般のCFT柱に比べて、曲げ耐力・変形性能を低下させることなく鋼管を薄くすることができ、建設コストの縮減を図ることができる。

2.柱梁接合部のせん断耐力評価

CFT造・CFT-R造とも、柱梁接合部のせん断耐力の評価方法を見直している。終局せん断耐力に対する短期許容せん断耐力の比率を、従来は1.2倍であったが、1.4倍とすることができる。また、円形鋼管を用いた場合、鋼管とコンクリートの相互拘束効果による耐力上昇を考慮できる。さらに、CFT-R造の柱梁接合部のせん断耐力評価では、主筋による寄与分を適切に評価・累加している。したがって、同じディテールでも耐力を従来に比べ高く評価することができ、合理的かつ経済的な設計を可能にしている。

3.鋼管とコンクリートの一体性を確保するための新たな手法

鋼管とコンクリートの一体性の確保に関して、これまでの手法(鋼管とコンクリートの付着やダイアフラムを利用した設計法)に加え、鋼管内面に溶接ビードを設置する簡便な手法を考案し、自由度の高い設計を可能にしている。