酸化マグネシウム系不溶化材料に関する事業展開について

株式会社　鴻池組
宇部マテリアルズ株式会社
昭栄薬品株式会社

汚染土壌の固化・不溶化方法に関する特許を取得

株式会社鴻池組（本社 大阪市 代表取締役社長 玉井啓悦、以下「鴻池組」）は、このたび酸化マグネシウム（MgO）を主成分とした不溶化材料による汚染土壌の不溶化処理に関する特許「汚染土壌の固化・不溶化方法」（特許第4109017号）を平成20年4月に取得いたしました。
宇部マテリアルズ株式会社（本社 山口県宇部市 代表取締役社長 安部研一、「以下、宇部マテリアルズ」）および昭栄薬品株式会社（本社 大阪市 代表取締役社長 鐵野磨輝男、以下「昭栄薬品」）は鴻池組より同特許の実施権を取得し、今後、汚染土壌の不溶化処理に使用する酸化マグネシウム系不溶化材料の製造、販売を行います。

特許「汚染土壌の固化・不溶化方法」（特許第4109017号）の概要

所定の温度範囲で焼成され、粉末度を調節した酸化マグネシウム（MgO）を汚染土壌に添加・混合することにより不溶化し、汚染物質の溶出量を長期間にわたって安定的に土壌環境基準や土壌汚染対策法指定基準に適合させるものです。
酸化マグネシウム（MgO）にpH調整や強度増加を目的とした薬剤を添加することや、含水比の高い泥土に酸化マグネシウムを添加し、脱水機を用いて含水比を低下させるとともに不溶化処理する方法も特許範囲に含まれております。

※酸化マグネシウム（MgO）を含む材料を用いて汚染土壌の不溶化処理を行うことは、本特許の侵害、または抵触する恐れがあります。

酸化マグネシウム系材料による不溶化処理の特長

1. 酸化マグネシウム（MgO）を主成分としており、セメント改良土で問題となる六価クロムを含みません。
2. セメント、石灰類と同様に耐久性のある硬化物が生成するため、不溶化処理効果の長期安定性に優れ、低アルカリ域での固化が可能です。
3. セメント系固化材で不溶化効果が得られにくい六価クロム、フッ素、シアン汚染土壌や多数の汚染物質を含む複合汚染土壌に対して高い不溶化効果を発揮します。
4. 汚染物質を含む底泥等の高含水比泥土に対しては、汚染物質を不溶化し、かつ脱水性を高める脱水固化材としての適用が可能です。
5. 処理後の土壌強度がセメント系固化材のように過大になることがなく、埋め戻した場合に、跡地利用の制限を受けにくい。

なお、平成15年に施行された土壌汚染対策法では、重金属等（第二特定有害物質）に汚染された土壌の対策手法として、原位置不溶化措置や不溶化埋め戻し措置を定めていますが、本材料はこれらの措置に適用することが可能です。
また、「マグネシウム系固化材を用いた固化・不溶化処理技術」については、国土交通省新技術情報提供システム（NETIS）に登録されています。（NETIS登録番号:KK-040059-A）

酸化マグネシウム系不溶化材料の製造・販売

宇部マテリアルズは鴻池組から特許の実施権を取得し、今後、汚染土壌の不溶化処理を目的とした酸化マグネシウム（MgO）および酸化マグネシウム系不溶化材料を製造します。また、従来の中国産・軽焼マグネシアをベースとした材料を要望されるユーザーにも対応するため、品質が確保された材料を宇部マテリアルズが供給します。
昭栄薬品は、宇部マテリアルズが製造・供給する酸化マグネシウム（MgO）および酸化マグネシウム系不溶化材料を販売します。

おわりに

最近では、トンネル建設工事や河川改修工事などにおいて、自然の岩石や堆積物中に含まれている重金属等による汚染問題が顕在化しています。自然的原因により有害物質が含まれる土壌については、土壌汚染対策法は適用されませんが、周辺環境への影響を及ぼさないよう、適切な対応が求められます。

また、土壌汚染対策法が施行されて5年が経過し、環境省では「土壌環境施策に関するあり方懇談会」が設置され、土壌汚染対策の新たな施策のあり方が検討されています。その中で、サイトごとの汚染状況や土地利用用途に応じた合理的かつ適切な対策の促進が議論されています。

この様な背景のなか、重金属等汚染土壌のリスク低減措置の一手法として、比較的安価な不溶化処理のニーズが高まることが予想されます。鴻池組、宇部マテリアルズ、昭栄薬品は、酸化マグネシウム系材料による汚染土壌の不溶化処理を普及させていくことで、汚染土壌による環境リスクの低減に貢献したいと考えています。

以 上

本資料についてのお問い合わせ先

（株）鴻池組 土木技術部 大山 将  電話  06-6343-3265
宇部マテリアルズ（株） マグネシア関連事業部  電話  0836-31-6085
昭栄薬品（株） 産資営業部  電話  06-6262-2702